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特別インタビュー 在レオン総領事館・板垣克巳総領事「2022年はメキシコと日本の交流をより一層強化していきたい」

  • 2021年12月13日
  • 読了時間: 13分

更新日:2021年12月15日

こんにちは。2021年はもうすぐ終わりを迎えようとしています。今年も様々な方にインタビューをしてきましたが、今回がMEXITOWN・2021年の最後となるインタビューとなります。


そこで今回は、2021年の締めくくりにふさわしい方として、在レオン日本国総領事館・板垣総領事に特別インタビューをしました。


COVID19の変異株が猛威を振るう中、ワクチン接種がメキシコ国内でも進み、COVID19の国内感染状況も落ち着いてきた様子を見せた2021年。バヒオ地域の6州(グアナファト州、ハリスコ州、ケレタロ州、サン・ルイス・ポトシ州、アグアスカリエンテス州、サカテカス州)を管轄する在レオン日本国総領事館の板垣総領事にとって今年はどんな年だったのでしょうか。また、来年に向けての取り組み・在留邦人の方へのメッセージなどもいただきましたので、是非最後までご覧ください。

<目次>



工夫をしながら対面でのイベントが少しずつ増えてきた2021年


ー2021年、領事が印象に残った出来事を教えてください。


板垣総領事:まず2021年2月に、長年、日墨の友好関係そして在留邦人の方のために力を尽くしていただいたベアトリス・ヤマモト元連邦下院墨日議連会長がお亡くなりになられたことです。ベアトリス女史は日系三世で、日本とメキシコの両方の良い点を理解することができ、周りの方と誰でも友達になれるような魅力を持った方でした。いつも日本人のことを気にかけてくれていて、広島県とグアナファト州の友好関係を支えていた彼女の功績を称えたいという想いのもと、6月にはグアナファト広島アミーゴ会、日墨商工会議所グアナファト支部、ベアトリス女史のご家族、ロドリゲス・グアナファト州知事、サンティジャーナ・レオン市長ほかベアトリス女史と親交のあったメキシコの友人や日本企業関係者を招待し、グアナファト文化フォーラムの庭において、「Sakura para Betty, Hasta siempre」と題する桜植樹式典を開催しました。


グアナファト文化フォーラムの庭に植樹された桜と記念プレート


6月にはメキシコで中間選挙が行われ、バヒオ地区でもサカテカス州、サン・ルイス・ポトシ州、ケレタロ州で州知事や市長の選挙が行われました。選挙も無事に終わり、新たに就任した州知事や市長を表敬訪問をしています。州知事や市長とは、日本との関係を強化するだけでなく、治安の問題にも対応してほしいという要請もしています。


7月から8月には東京オリンピック・パラリンピックが開催され、レオン総領事館管轄の6州からもアスリートが出場しました。また、グアナファト州と友好提携を有する広島県各市がメキシコ人選手団を受け入れ、試合までの練習場などのサポートをいただきました。オリンピック・パラリンピックを通じて、より一層広島県とグアナファト州、そしてメキシコとのつながりが強化されたと思います。

9月は、メキシコ独立200周年イベントが各地で行われ、その一環としてアグアスカリエンテス州で墨独立200周年記念行事が行われ日本が同州による招待国となったことから、同州政府の全面的なサポートの下で和楽器グループのコンサートや、日本料理、日本酒、書道、お茶などの日本文化紹介を在メキシコ日本国大使館、日墨協会、日本企業と協力をして行いました。久しぶりの対面でのイベントの開催にアグアスカリエンテスの州民は非常に喜んでいらっしゃいました。


その他、バヒオ地域各地で、日本映画の上映会や日本カレンダー展の開催、COFOCE(グアナファト州貿易振興調整機関)と日本料理とメキシコ料理の料理イベントなどを行いました。


2020年に比べ、少しずつではありますが、対面でのイベントも再開できた一年だと実感します。


バヒオ6州は日墨経済の屋台骨。日系企業の皆様の努力に敬意を表したい



ー2021年の日系企業の動きについて、領事館の見解を教えてください


板垣総領事:COVID19 の感染拡大の影響が継続し、多くの日系企業が事業の拡大などが厳しい1年だったと思います。2020年4月から5月までnon essential(必要不可欠ではない)の産業が休業になり、同年6月から各企業が感染拡大防止のプロトコルの実施を徹底して製造業の活動が再開されました。私は着任以来、50社ほどバヒオ地域の日系企業に足を運び、日系企業がどのように感染拡大防止に努めているのかをヒアリングし、活動の再開の状況を確認しました。各企業ともに非常に努力をされていて、職場内感染クラスターを出さないようにしておられました。企業の皆様の努力に敬意を表します。


このような状況でもあったので日系企業の進出動向ですが、工場の拡張を行う企業は数社ほど見られました。


バヒオ地域の6州だけで、在留邦人は6,000人、工場や事務所を構える日系企業は600社ほどあります。バヒオ6州は日墨経済の屋台骨であり、重要な役割を果たしています

ーバヒオ地域に住む在留邦人にとって、2021年はどのような年だったと思いますか。


板垣総領事:2020年はCOVID19の感染拡大の影響で、駐在員の方々の中にはご家族を日本に一時的に帰国・本帰国させた方も多く、苦労をされた方も多いと存じます。今年はご家族が一部戻ってきている傾向も見られます。

グアナファトとアグアスカリエンテスの日本人学校では、昨年はオンライン授業のみでしたが、最近になり分散登校の実施やオンラインと対面授業の並行をされています。運動会も実施することができるようになり、ソーシャルディスタンスの維持やマスクの着用をしながら、学校行事が行われるとの方向に向かっていると思います。

ーメキシコ国内のワクチン接種や治安問題についてはいかがですか。

板垣総領事:日本で行われているような職域接種を、当地に進出される日系企業敷地内が実施されています。そこでは、邦人・メキシコ人従業員様だけではなくそのご家族、地域住民の方にもワクチン接種を提供いただているとして、グアナファト州保健局長から高い評価をいただきました。日系企業と協力の下で進める職場での接種という取り組みが、非常に効率がいいというお言葉もいただきました。

また、在留邦人の皆様が懸念事項の一つとしてあるバヒオ地域の治安問題についてですが、各州政府治安当局と連携を強化して、情報収集するとともに、治安改善の申し入れをしています。当館HPや領事メールでも治安情報提供を邦人の皆様に行っております。また、メキシコ日本商工会議所(以下、カマラ)が実施した貨物盗難被害アンケートを踏まえて、日系企業や日本人の貨物の被害が少しでも少なくなるよう、国家警備隊と定期的に情報交換をしながら対策を取っています。

日墨友好関係の強化で、相互交流をより深める2022年にしたい


ー2022年に向けての抱負をお願いします。


板垣総領事:私自身、総領事館内の椅子に座っているだけではなく、実際に足を運んで在留邦人の皆様の様子を伺いたいと考えています。2020年3月にレオン総領事として着任してすぐCOVID19がメキシコで流行したため、2~3か月ほどどこにも行けなかったのが辛かったですね。今年に入ってもCOVID19の信号が赤信号の時期は外出も控えた時期もあったので、今年できなかったことを来年着実に実施していきたいです。メキシコ国内のワクチン接種も進み、COVID19も少しずつ抑制され始めているので、来年は今年よりも色々なことができるようになればと祈っています。

そうしたことを踏まえて、2022年に向けての抱負は大きく分けて4つほどあります。


1.日墨友好関係の強化

先ほど、アグアスカリエンテス州においての文化発信のイベントについてお話ししましたが、COVID19の状況次第ではありますが、明年は同様な友好関係に資するイベントをグアナファト州などで行いたいと思っています。明年は5月にサン・ルイス・ポトシ州で行われる全国日系人大会や、グアナファト州で50周年を迎えるセルバンティーノ国際芸術祭があります。50周年目となるセルバンティーノ国際芸術祭自体及びそのプレイベントに、日本としても何らかの貢献ができないかと関係方面と相談しているところです。


また、お互いに経済交流のあるアグアスカリエンテス州と神奈川県、姉妹都市であるグアダラハラ市と京都市、グアナファト州と広島県の友好関係の強化に、総領事館としても支援していきたいです。


2.在留邦人の皆様の役に立つ総領事館

在留邦人の皆様の役に立つ総領事館として引き続きアンケートを実施しながら、ご意見を取り入れていきたいと思います。レオン市とイラプアト市では既に実施していますが、アンケートで最も多くの意見があった治安問題と交通マナーの改善、手続迅速化や交流促進を、両市市長に伝ました。


アンケートでは他にも、日本とメキシコの交流イベントの実施を希望する声も多くみられました。今後はサン・ルイス・ポトシ市、ケレタロ市、イラプアト市など、邦人の方が多くいらっしゃる地域で交流イベントが出来ればと思っています。

3.日系企業の支援

カマラと相互補完的な役割をしつつ、日系企業の活動を積極的に支援していきたいです。日系企業と州政府との橋渡しや企業の皆様が抱えていらっしゃる問題にも解決にむけたお手伝いができれば良いと考えております。


日本では、近年、多くの企業では企業の社会的責任(CSR)と持続可能な開発目標(SDGs)を念頭に置いた企業活動を展開されています。特にSDGsにおいては、政府はもとより、地方自治体、企業、大学などの教育・研究機関や市民社会も取り組むべき時代になっています。日系企業やメキシコ企業のSDGs達成のためGood Practiceをより多くの企業や自治体関係者にも紹介し、お互いの交流を深めることができたらと考えています。


4.メキシコ人と日本人 ヨコとヨコのつながりを強化したい

自分の持つ印象ですが、バヒオ地域のメキシコ人の方はとりわけ日本人に対して友好的な方が多いです。日本が大好きな方々や日本文化や武道のグループもあります。このようなグループ同士をつないだり、元国留学生やJICA帰国研修員、各州の派遣プログラムで訪日した人たちとつないだりしていきたいと思っています。今年はあまり実現できなかった対面イベントを増やしながらつながりを強化していきたいです。


また、COVID19の影響により、日本国内のインバウンド事業が非常に落ち込みました。今年の10月、11月に日本政府観光局(JNTO)関係者がバヒオ地域に来訪し、インバウンド事業の促進について、グアナファト州観光局長やケレタロ州観光局長などとの意見交換会をアレンジしました。COVID19による入国規制が緩和された際には、多くのメキシコ人の方に日本を旅行していただきたい。もちろんその逆も同じく、多くの日本人の方にメキシコに来てもらいたい。お互い観光を通じたつながりができればと思います。

先ほども述べましたが、今年はCOFOCEと協力して、グアナファト州産品を使った日本料理とメキシコ料理の紹介をしました。実はグアナファト州の中には、日本に農産品を輸出している企業があります。豚肉ではペンハモ市のGranjero Feliz社で、日本のとんかつチェーン店では同社の豚肉が使われています。野菜ではペンハモ市のRed Sun Farms社、イラプアト市のMr. Lucky社が日本にも輸出しています。メキシコでも日本の食材やお酒が販売されています。お互いの食材やお酒を活用して食文化比較とお互いの産品の輸出入促進につながるイベントを行っていきたいですね。


バヒオ6州は世界遺産の多い魅力の詰まった州。是非足を運んでください!


ー続いて総領事ご自身への質問です。今年はどのように過ごすことが多かったですか。


板垣総領事:平日についてまずお話ししますと、総領事館スタッフはCOVID19感染拡大防止のためにAチームとBチームに分けて、分散出勤を実施しています。自宅で過ごす時間やバーチャルで仕事をすることも昨年より増えました。仕事と仕事以外の時間の区別が出来なくなっている部分があることはちょっと反省しています。

週末は、自宅で美味しいワインを飲み比べしています。バヒオ地域の6州は美味しいワインの産地としても有名ですね。その他、自宅での過ごし方としてはネットの映画やドラマ鑑賞もしていました。


外出がある程度できるようになってからは、バヒオ地域の6州を巡りました。各州の世界遺産やプエブロ・マヒコ(Pueblo Magico)と呼ばれる街、グアナファト、サンミゲル・デ・アジェンデ、サン・ルイス・ポトシやアグアスカリエンテスの旧市街地、ケレタロ州のペーニャ・デ・ベルナル、テキスキアパン、ハリスコ州のテキーラ村、サカテカス州の鉱山跡などです。


実際に足を運び、メキシコのいいところや奥深さや魅力を在留邦人の皆様にはもちろん、日本にいる皆様にも知っていただけたらと思います。


ー総領事お気に入りのメキシコ料理や飲み物などを教えてください。

板垣総領事:メキシコ料理では定番かもしれませんが、エンチラーダが好きです。辛い食べ物も平気です。飲み物はテキーラとワインですね。公邸料理人の方がテキーラやメスカルの入った生チョコを作って試食したときは、テキーラやメスカルとチョコレートの相性の良さにも驚きました。



在レオン総領事館は来年1月で6周年。在留邦人の皆様の意見を積極的に取り入れていきます


ー最後に、在留邦人の皆様へのメッセージをお願いします。

板垣総領事:メキシコは日本よりも広い国土を持ち、人口も日本に追いついています。太陽と自然、世界遺産がある豊かな国です。治安の問題もありますが、中南米においてメキシコは非常に親日家です。私は過去コロンビア、ペルー、パナマ、グアテマラ、エクアドルで大使館勤務をしていましたが、おそらく中南米諸国では最も親日的な国ではないでしょうか。


バヒオ地域のメキシコ人の方々は人懐っこく、非常に住みやすい場所です。懸念事項として治安の問題がありますが、在留邦人の皆様におかれましては、大使館や総領事館からの関連情報にも目を通して頂き、犯罪の傾向などの情報収集に努めつつ、十分気を付けていただきたいと思います。


在レオン総領事館は2022年1月に開設6周年を迎えます。今後とも総領事館管轄の6州に住む在留邦人の皆様、日本からの旅行者の皆様のお役に立てればと存じます。カマラの会員以外の皆様の声もお聞きしたいと思っています、何かご意見・ご質問等があればメールやお電話などで是非ご連絡ください。例えば皆様からもお住まいの州で何か文化交流はできないかなどの貴重なご意見をお待ちしております。

経歴:

板垣 克巳(Katsumi Itagaki)

秋田県出身。埼玉大学教養学部教養学科(国際関係論コース)卒業後、1984年外務省入省。国際社会協力部人権難民課、在ペルー日本国大使館、 在パナマ日本国大使館、在グアテマラ日本国大使館、在エクアドル日本国大使館を歴任後、2020年3月より在レオン日本国総領事館・総領事に着任。

編集後記


編集部が事前に送付した質問一つ一つに丁寧に答えていただいた板垣総領事。インタビューを始める前にこれまでのご経験などをお聞きした際、外務省入省後にスペイン語を選ばれた理由が、中南米諸国で多く話されている言語だからという理由でした。その当時と今を比べるとスペイン語での仕事や需要・国際交流は格段と増えているので、先見の明がある方だと実感しました。


その後、スペインの外交官学校で共に学んだエクアドル外交官が、のちにエクアドルの外務大臣となり、公務で再会したというお話や、在ペルー日本国大使館では在ペルー日本大使公邸占拠事件の人質になったこと、在パナマ日本国大使館の時にはTAJIMA号事件の解決に携わったことなど、日本国内でも大きく報じられた事件の第一線でご活躍されてきた板垣総領事。在レオン総領事に着任されて間もなくCOVID19のパンデミックの流行になりましたが、そのような状況の中でも総領事として、実際に日系企業に足を運ぶなどして、常に在留邦人や日系企業のことを念頭に考えていらっしゃる想いがインタビューを通して伝わりました。


今年も残りわずかとなりますが、2021年の最後に板垣総領事にこのような形で今年の総括と来年の抱負を取材することができ、大変貴重なインタビュー回となりました。

在レオン日本国総領事館


(問い合わせ先)

住所:Blvd. Adolfo Lopez Mateos No.1717 Piso 9, Col. Los Gavilanes, Leon, Guanajuato

開館時間:09:15~13:15(午後の取り扱いはありません)

*当館の開館時間に変更はなく、電話やメールでの問い合わせについては従来どおりとなります。

*旅券、各種証明にかかる申請から交付までの所要日数に変更ありません。


Tel: +52(477)343-4800

Fax: +52(477)764-0603(領事班)


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