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「関西の食文化をCDMXから発信!」山川氏インタビュー

今年の6月、メキシコシティに「大衆鉄板・さんご」がオープンしました。開店から間もなくお店はメキシコ人の方でにぎわい、お好み焼きやそばめしなどといったメキシコの鉄板焼きレストランとは違ったスタイルを楽しんでいました。


こんな斬新なお店を手掛けている方はどんな方なんだろう?今回は大衆鉄板・さんごの店長の山川氏にインタビューをしました。ボクサーの顔も持つ山川氏。メキシコに来るまでの経緯やお店の人気メニュー、これから実現したいことなどについてお話しいただきました。

 

<目次>

 

ボクサーになりたいという夢からメキシコへ


ー山川さんはボクシングを高校時代から始められました。そこからメキシコにいらっしゃるまでの経緯など教えてください。


山川さん:私は兵庫県尼崎市の出身です。私が高校生の頃、ボクシングを始めました。ボクシングを始めたきっかけは、私の家系が沖縄系の血筋で、子供の頃に見た具志堅用高の試合を父が見ており、傍で見ていて「かっこいい!僕もプロボクサーになってみたい」と興味を持ったのがきっかけです。そして地元のボクシングのジムに通い始めましたが、そこにメキシコ人の選手がいました。すぐに彼とは仲良くなり、「メキシコにおいでよ!」といわれたのが、メキシコのきっかけです。


ボクシングはそのころから今に至るまでずっと好きで、常に仕事をしながらボクシングをしています。今でもジムにいって体を動かしていますね。


そして1996年。私が21歳の時に、ジムで出会ったメキシコ人の友達に誘われ、いざメキシコへ。今と比べると日本人でメキシコに来ている人は珍しかったので、周りは日本人だ!と珍しそうな目で見ていました。今ではメキシコに来て戦っているボクシングの日本人選手もいるので、それほど珍しくはなくなりました。


一旦日本にその時は帰国しましたが、翌年の1997年。ボクシングの練習をするために仕事を休んで再度メキシコに来ました。その時、僕が現在鉄板焼き店を開業したことにもつながる出会いがありました。メキシコシティのレストラン・MOG BISTROとMO+Fのオーナーの谷さん(写真右)と知り合いました。今にもつながる大事な縁です。


その後、私は地元の尼崎市で、またメキシコに行く機会があればいいなあという夢を常に持ち、ボクシングの練習の傍ら、溶接の仕事をしていました。そして時が流れておよそ十数年後。Facebookを通じて、谷さんと再会しました。谷さんはすでにメキシコシティでMOGなどを経営しており、「メキシコにも飲食チャンスがあるから来ないか」とお声がけを頂きました。


COVID19の流行で日本で足踏み、それでもメキシコに来てお店をオープン


ーそれが、現在の大衆鉄板・さんごを始めるきっかけだったんですね。


山川さん:そうですね。「飲食店をやりたいな」という漠然とした思いはずっとありましたが、溶接の職人仕事をしていて飲食業には携わった経験はありませんでした。


谷さんからのお話しを聞いてメキシコに今すぐにでも行きたいという想いはありましたが、「飲食業の経験なしでいきなり行くのは厳しいかな」と思い、2016年から鉄板焼き店を尼崎市で始めました。そして3年ぐらい経営し、飲食店の基本的なノウハウを身に着けた2019年、私の後輩にお店の権利を譲渡し、メキシコに行く準備を進めていました。ところが、新型コロナウイルスが流行したため、国外に出ることが出来ず、日本で2年間足踏みをしてしまいました。


それから2年間は現地の新型コロナウイルスの流行状況を収集しながら、メキシコに行くタイミングを見計らっていました。そして2021年末、ようやくメキシコに来て、半年くらいの準備期間で2022年6月、ついに大衆鉄板・さんごをオープンすることが出来ました。オープンにあたっては、前述の谷さんの協力のもとで出来ました。自分はスペイン語とかもまだ話せない 谷さんの協力がないと実現できなかったので、谷さん始め周りのスタッの方々には非常に感謝しています。



お店の外観・内観。

目の前の鉄板で調理される料理にメキシコ人のお客様は釘付けです


ーこれまでお好み焼き店はあったものの、”大衆鉄板焼き”というスタイルはメキシコでは殆ど見かけたことがありませせんでした。関西にあるようなお店がメキシコにもあるのは斬新です。


山川さん:メキシコにはラーメンやお寿司をメキシコ人が提供し、日本人と日本系レストランも私が初めてメキシコに来た1997年に比べたらものすごく増えました。もはやメキシコシティでは何でも揃う・何でも食べれる環境ですね。


記憶に残る祖母のお店の雰囲気を、メキシコでも実現したい


ーそして満を持してオープンした大衆鉄板・さんごです。さんごとお好み焼き?面白い組み合わせです。 


山川さん:そうですよね。さんごというと南国です。この名前の由来ですが、私が小学校1年生くらいの頃の40年ほど前まで遡ります。私の地元・尼崎市で祖母がお好み焼きのお店をしていました。その名前が「さんご」です。私のその頃の記憶がわずかですが、常にお客さんがいっぱいで楽しい空間がありました。そんなふうな雰囲気をメキシコのお店でも実現したいと思い、さんごと命名しました。

 

私の父方も母方も沖縄系の血筋ですが、尼崎市は沖縄系移民の集落があり、沖縄の名前をつけたお店が多かったです。


そばめしとポテトサラダのチーズ焼き!人気メニュー


人気メニューはお好み焼き、そばめしなど…

どれも美味しそうなメニューで選ぶのに迷ってしまいます


ーお店のメニューですが、どれも美味しそうなメニューばかりです。これまでメキシコではあまり見かけなかったそばめしやとん平焼き、フルーツサワーはパイナップルやグレープフルーツがカットされてはいっており、女性も嬉しいですね。


山川さん:メキシコ人のお客様がお好み焼きだけでなく、そばめしを注文してくれることが増えました。焼きそばとご飯が一緒になっているのが珍しいのかもしれません。日本人の方にとってもそばめしを提供しているところが少ないため、懐かしい!といって注文してくださる方がいます。また、最後に〆としてご飯ものを食べたいということでそばめしを注文する方もいらっしゃいます。 


お店の人気メニューですが、豚肉とアブラカスお好み焼きが一番多いです。そして、ポテトサラダのチーズ焼き(写真右)です。


ーポテトサラダを鉄板の上で焼いてしまうんですか?!


山川さん:そうです。ポテトサラダを鉄板で焼いてしまいます。まだ飲食店やる前のお話しですが、日本で偶然入った鉄板焼き店でよく似たメニューがでていて、その美味しさに感動し、「自分が店やるときにはメニュー化したい!」と思いました。それを私なりに改良してアレンジして作ったものです。

 

そしてお好み焼きなどと非常に相性のいいフルーツサワーですが、もう一人の日本人スタッフでもある松井さんの要望で取り入れました。フルーツたっぷりの見た目が女性には大人気ですね。 


関西の食文化をメキシコ国内に発信したい!


ーこれからお店のメニューとして考えているものはありますか。


山川さん:さんごの名前の通り、ゴーヤチャンプルーなど簡単な沖縄料理を鉄板焼きでやりたいです。また、鉄板焼きの定番でもあるステーキも、現在良い質のお肉を探して試している段階です。どこかのタイミングでステーキもやりたいです。


また、いらっしゃるお客様の中には関西の方が多く、汁物のうどん、関西名物のかすうどんをやってほしいといわれてます。常連のお客様には何回か出していますが、メニューにのせたいですね。


お好み焼きと同じ粉もんとして、たこ焼きが食べたいとお客様もやはり一定数います。たこ焼き用の鉄板は日本から持ってきたので、今のお店のスペースを工夫しながら活用してやりたいです。


ドリンクメニューでは、メスカルを増やしてほしいという要望があります。テキーラも含めて、ペアリングなどのアドバイスを受けたので、こちらも入れてみたいです。 


お客様はほぼメキシコシティからいらっしゃる方ですが、まれに日本からの旅行者の方もいらっしゃいます。メキシコシティ以外からではケレタロやレオンの方がいらっしゃいます。今後、メキシコシティに出張にいらっしゃるバヒオ地域の方々にも是非お越しいただき、日本の味を思い出していただきたいです。 


最終的な目標は、お好み焼きという食文化をメキシコシティから発信していくことです。ラーメンがメキシコでは広まりつつあり、日本食の定番となっていますが、それだけではない!関西の食文化を広げていきたいです。 


お好み焼きには、色々種類があります。大阪風、広島風、尼崎の下町風のお好み焼きなどです。メキシコ人の方だけではなく、日本人の方にも食べたことないスタイルのお好み焼きをここメキシコの、僕のお店で食べてほしいです。


お店も今後はメキシコシティ以外のメキシコの主要都市には是非進出したいです!


とりあえずメキシコに来て、自分の目で見て、行動に起こしてください!


ー山川さんが今後、お店のこと以外で挑戦したいことを教えてください。


山川さん:私が初めてきた1997年頃と比べて、日本人も増えたため、メキシコ人と接する機会が少なくなりました。今は日本人の方と接することの方が多く、私もそれに甘えて、スペイン語の勉強がおろそかになってしまっています。今後はメキシコ人の方にも料理の説明をしていきたいので、スペイン語の勉強をまたお店の経営に余裕が出てきたら始めたいです。 


あとはボクシングですね!実戦練習とスパーリング(殴り合い)をメキシコの若い選手とジムでやりたいです!


ー最後に、メキシコに行きたいと思う日本人の方やメキシコにいらっしゃる方へのアドバイスをお願いします。 


山川さん:「何をするにしても日本よりはチャンスがある!」です。新型コロナウイルスの流行で私もメキシコへの渡航が延期になりました。


新型コロナウイルスの流行が収束したわけではないけれど、来たら何とかなると思っています。とりあえずメキシコの地に足を踏み入れて、自分の目で見て、そこから色々なことを始めてほしいです。とりあえずメキシコに行く!迷っている時間がもったいないので、行動に起こすところから始めてほしいです。私も新型コロナウイルスの流行が落ち着いてからメキシコに行った方がいいかと思っていましたが、行動に移す勇気が必要かと思います。 


今メキシコにいる人にも、同じことがいえます。とりあえず考えているよりも始めた方がいい!やりたいことはすぐにでも始めましょう。ちょっとのことからでもいいので、何よりも始めることが大事です。 


ーメキシコに来てお店を始めた山川さんからだと説得力がありますね!今日はありがとうございました!

 

編集後記


実際に編集部も某日、お食事に行きました。メニューでそばめしを見た瞬間思わず「懐かしい!」と叫び、迷わずに注文しました。本文中に出てきたフルーツたっぷりのフルーツサワーも美味しく、ソース系のお食事との相性が抜群!そして日を改めて山川さんにインタビューをしたのですが、メキシコで飲食店をやりたいという数年前からの夢に向かって、日本で飲食店の経営をしてからメキシコへ、と着実なステップを踏まれていることが印象に残りました。そのようなお人柄だからこそ、「何をするにも日本よりチャンスがある」「迷っていないで、行動に移してほしい」という言葉に一層の厚みがありました。


関西の食文化をメキシコに発信!日本にいてもそれほど関西の食文化を体験する機会がない読者の方もいらっしゃると思いますので、是非日本から遠く離れたメキシコシティで関西の味を堪能してみてはいかがでしょうか。

 

店舗情報


大衆鉄板 さんご

住所:Río Pánuco 128, Cuauhtémoc, 06500 Ciudad de México, CDMX

Tel:5517832812

営業時間:火~日:14時~23時(ラストオーダー)

定休日:月曜日

 

執筆者紹介:




温 祥子(Shoko Wen)

MEXITOWN編集長兼CEO。メキシコ在住5年半。MEXITOWN立ち上げて今年で3年目に突入。これからも様々なジャンルの方をインタビューしご紹介していきます!趣味は日本食をいかにメキシコで揃えられる食材で作ることができるか考えること。日本人の方が好きそうな場所を探し回ること。



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送信ありがとうございました

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