カマラ・グアナファト新支部長に就任!Atecs Insert Molding Mexico・矢部氏に聞くEV産業とメキシコの可能性
- 4月27日
- 読了時間: 5分

EV(電気自動車)の普及が世界的に進むなか、その重要部品を支える日本の技術がメキシコでも広がりを見せている。
2025年1月、レオンに設立されたAtecs Insert Molding Mexico。社長として同社を率いる矢部氏はこのたび、カマラ・メキシコ日本商工会議所(カマラ)グアナファト支部長にも新たに就任した。
今回MEXITOWNでは、新支部長就任をきっかけに矢部氏へのインタビューが実現。EV産業を支える技術、メキシコ進出の背景、そして日系企業コミュニティへの思いについて話を聞いた。
<目次>
EV時代を支える「インサート成形」技術

Atecs Insert Molding Mexicoは、日本の株式会社アテックスと長瀬産業株式会社による合弁会社だ。同社の主力技術は「インサート成形」と呼ばれる製造技術である。
インサート成形とは、金属とプラスチック(樹脂)を一体で成形する技術だ。特に電動車両では、金属に電気を流しながらも安全性を確保するため、絶縁技術が欠かせない。
社長として日々奮闘する矢部氏はその役割をこう説明する。
「金属と樹脂を一体で成形することで、電気の絶縁を確保することができます。高電圧・大電流を扱う電動車両では、この安全性が非常に重要になります」
この技術は、電動車両の中核部品とされる「電池・インバーター・モーター」の3つの領域で広く使用されている。
EVやハイブリッド車の普及が進むなか、こうした部品需要は今後さらに拡大していくと見られている。
なぜレオンに工場を設立したのか
Atecs Insert Molding Mexicoが工場を構えたのは、グアナファト州レオン。
自動車産業が集積するバヒオ地域の中でも、戦略的な場所だ。
その理由について矢部氏は次のように語る。
「合弁会社のパートナーである長瀬産業の事務所がレオンにあり、利便性が高かったことが一つあります」
現在はすでに設備が整い、生産開始に向けた準備が進められている。
メキシコ産業の可能性とは
メキシコ経済は、長年アメリカ向け輸出を中心に発展してきた。
しかし矢部氏は、今後の発展には別の要素も重要だと指摘する。
「メキシコは今、ある意味で“生産機能”に特化している国だと思います。今後は研究開発の機能がもっと育っていくと、産業の広がりが生まれるのではないでしょうか」
メキシコには日本と比べて若い労働人口が多く、将来性は高い。
「若い人材が研究開発などの分野で活躍できるような教育プログラムが増えれば、自国ブランドや自国産業ももっと発展するのではないかと思います」
突然決まったカマラ支部長就任

矢部氏は2026年3月より、メキシコ日本商工会議所(カマラ)グアナファト支部長にも就任した。
しかし、その就任は非常に突然のものだったという。
「新年会の2日前に、前支部長の森田さんから電話をいただいたんです」
帰国を控えた森田氏が後任探しに苦労している様子を感じ取り、まずは話を聞くことにしたという。
その日のうちに日本本社の役員へ相談すると、返ってきた答えはシンプルだった。
「やらない理由なんかないやろ!!」
さらに、支部長経験者であり長瀬産業の先輩でもある熊崎氏からも
「絶対やるんだ!」
と背中を押され、新年会の席で正式に引き受けることを決めた。森田氏はすぐに本帰国したため、引継ぎは移動の車の中の1時間だけだったというドタバタ劇だった。
明るく楽しいところに人と仕事は集まる

支部長としての抱負を尋ねると、矢部氏は一つの信条を語った。
「明るく楽しいところに人と仕事は集まると思っています」
これまでカマラが取り組んできた
治安
経済・貿易
日系企業支援
といったテーマは引き続き重要だとしながらも、より身近なサポートにも力を入れたいという。
「会社を立ち上げた頃は、ビザの問題や電力会社(CFE)の手続きなど、企業が困ることを自分自身も経験しました。同じ悩みを持つ企業の助けになれればと思います」
さらに、より多くの人が参加しやすいコミュニティ作りも目標だ。
「もっと気軽に参加できる場所にしたいですね。役員だけの集まりではなく、気軽に立ち寄れる部室のような雰囲気になればいいと思っています」
日本人コミュニティとメキシコ社会の橋渡し
最後に、メキシコで生活する日本人へのメッセージを尋ねた。
「カマラのイベントには、会員の皆さまはぜひ気軽に参加してほしいですね」
そしてもう一つ、大切にしたいことがあるという。
「日本人同士のコミュニティも大事ですが、せっかくメキシコに住んでいるので、メキシコの方々とも交流していきたいですね」
治安への注意は必要だが、それでもメキシコ生活は魅力にあふれていると語る。
「安全に気を付けながら、メキシコ生活を楽しんでほしいですね。私自身もとても楽しんでいます」
EV産業の拡大とともに、メキシコの製造業は新たな段階へと進もうとしている。
そしてその裏側には、技術だけでなく人と人とのつながりがある。
矢部氏の言葉の通り、明るく楽しい場所には人も仕事も集まるのかもしれない。
プロフィール
1997年 千葉大学工学部卒、長瀬産業入社
2025年 メキシコに初の海外駐在
趣味は皆でワイワイ飲むこと。ベイスターズファン
Atecs Insert Molding Mexico
所在地:Blvd industriales, Industrial de León 2000 #206, León de los Aldama, Gto.
ホームページ:https://atecsmx.com/
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