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皆様、新年あけましておめでとうございます。MarkLines Mexicanaの安達です。年末年始はいかがお過ごしでしたでしょうか。2025年は、メキシコ自動車産業にとって大きな変化の年となります。
2025年1月20日、ドナルド・トランプ氏が再びアメリカ大統領に就任し、米国第一主義へと再び舵を切る中で、メキシコを取り巻く経済環境が大きく揺らぐ可能性があります。これまでUSMCAの恩恵を享受してきたメキシコの自動車産業にとって、貿易政策の見直しや国際関係の変化は新たなリスク要因となります。しかし、こうした逆風がどのような成長機会に変わるのかも、今後の注目点となるでしょう。
メキシコ自動車産業が未来への挑戦にどのように応え、国際市場での競争力を維持していくのか。これからの動きがその行方を大きく左右します。 本年も皆様と共に、最新情報を共有し、洞察を深めてまいりたいと思います。
現状分析
新たな挑戦の年となる2025年を迎えた今、まず振り返りたいのは、直近の動向がメキシコ自動車産業にどのような影響を及ぼしているかという点です。特に、米国自動車市場の実績は、メキシコにとって重要な指標であり、その変化は私たちの予測を大きく左右します。
2024年の米国自動車販売市場では、環境対応車が期待されたほどには普及せず、従来のガソリン車が依然として主力の地位を占めました。しかし同時に、自動車産業全体では環境対応に向けた技術革新が着実に進行しており、未来への準備が着実に進められていることも見逃せません。こうした現状を把握することは、2025年以降の動向を見極める上で不可欠です。
ここからは、実績数値を基に、メキシコの自動車産業が置かれている現状について詳しく見ていきます。
1. 米国自動車市場の予測と実績の比較(予測は2023年10月時点)
2023年予測と実績の差異
予測:EV(BEV)の市場シェア増加、HEV/PHEV/FCEVのラインナップ充実による成長が期待されていた。
実績:政策依存度が高いBEV。IRAといった刺激策により拡大が見込まれていたが伸び悩み。HEV/PHEV/FCEVはモデル不足で需要を取り込めず。ガソリン車が大半を占めた。
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2. 環境対応車への移行は確実に進行
このように、米国市場では、環境対応車の販売が予測を下回る結果となりました。BEVは政策の後押しがあるものの市場浸透に時間を要し、HEVやPHEV、FCEVもラインナップの不足により大きな成長を遂げられませんでした。結果として、ガソリン車が引き続き市場の大部分を占める状況が続いています。
しかし、これは環境対応車の進展が停滞していることを意味するわけではありません。自動車産業全体では、材料構成の変化を通じて環境対応技術が着実に進化しています。軽量化を目的としたアルミニウムや複合材料の使用増加、樹脂やゴム、透明樹脂といった新素材の導入は、車両全体の設計に新たな可能性をもたらします。こうした技術革新の動きは、将来の市場変化を見据えた重要なステップといえるでしょう。下記は使い古されてきた「自動車の材料構成の変化」を表したチャートですが、概ねこの傾向は変わりません。
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2025年の注目ポイント
環境対応に向けた技術革新が着実に進む一方で、メキシコの自動車産業が直面する課題と機会は、単に市場の需要動向だけでは語れません。特に2025年は、米国とメキシコの経済関係における新たな局面を迎える年であり、政治的・経済的な変化が自動車産業にどのような影響を及ぼすかが注目されます。ここからは、メキシコ自動車産業の生産台数や輸出・販売構成、さらには米国市場との連動性を軸に、2025年以降の注目ポイントを考察します。
3. メキシコ自動車生産台数の動向
トランプ第二次政権(2025-2027):完成車輸出規模の維持がメキシコ経済にとって最重要課題。特にシェインバウム大統領が強い関心を寄せるポイントとして注目される。
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4. 米国市場における販売実績と輸入依存度の関係
米国市場での自動車販売総数と、そのうちの輸入車割合。トランプ大統領が再び生産の国内回帰を強調する中、メキシコやカナダからの輸入依存をどのように解消するかが重要な焦点となる。
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5. メキシコ国内市場の動向
メキシコは世界有数の自動車生産国(世界第7位)でありながら、その生産車両の多くは米国やカナダなどへの輸出に充てられる。一方で、メキシコで販売される自動車の約60%は輸入車に依存している。このような状況の中、シェインバウム大統領は2024年10月1日の就任時の所信表明で、自動車生産を積極的に呼び込む姿勢を示している。自動車生産を国内に呼び込むことで、この輸入依存度を引き下げたいという意向は、米国市場における輸入削減を目指すトランプ大統領の政策とも共通している。
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6. メキシコ自動車部品市場の推移と展望
メキシコは自動車の完成車生産だけでなく、その部品の供給でも重要な役割を果たしており、特に輸出向けの部品生産は年々拡大している。
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編集後記
メキシコ自動車産業の現状を見てきましたが、最後に少し振り返り、今後の動きに関して触れておきたいと思います。デトロイト3(GM、フォード、ステランティス)の動きに目を向けると、トランプ第一次政権、そしてバイデン政権時代に自国保護の恩恵を受けてきたものの、それでも生産コストが高すぎて、メキシコへの生産移転を進めてきた背景があります。生産回帰を促したにもかかわらず、2024年も米国企業のメキシコ投資は進んでいます。これが意味するところは、米国内で競争力のある自動車生産を行うのはもはや難しいということです。しかし、それでもカーメーカー各社は、米国政府の反発を避けるため、戦略を見直し、ロビー活動費を増加させるなど、米国内での立場を強調しているように見えます。
結局、2026年のUSMCA見直しを前に、2025年半ばまでは複数のシナリオが並行している状態が続くでしょう。ティアトップのカーメーカーがこのような状況にある以上、部品メーカーにとってはさらに不確実性が増すことになります。方針を決定することは一層難しくなるでしょう。来たる変化に対応するためには、様々なシナリオを事前に想定し、準備を整えておくことが、2025年における部品メーカーの社長に課せられた重要な使命となります(かなりハードですね)。自社の将来を見据え、柔軟かつ戦略的に対応することが求められるでしょう。
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今回は、メキシコ自動車産業の変化点とその影響を探ってきました。こうした不確実性の中、メキシコ法人が自力で戦略を策定し、変化に先んじて対応するためには、的確な情報収集と分析が欠かせません。当社の自動車情報プラットフォームは、企業が次の一手を導き出すためのパートナーです。私たちは「Moving Ahead of Change / 変化の先頭に」を理念に、変化を先取りし、未来を切り拓くためのサポートを提供してまいります。
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執筆者
MarkLines Mexicana 安達
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