Ahoritaに慣れるまで3年!? 仁田原さんのメキシコ生活9年のリアルな答え
- Shoko Wen
- 7月25日
- 読了時間: 7分

南米ボリビアで生まれ、世界各国を旅しながら暮らしてきた仁田原幸(にたばる・さち)さん。スーツケース片手に点々としてきたというその人生は、まさに“グローバル”。2016年にメキシコへやってきてから9年。現在は営業職として多忙な日々を送りながら、メキシコでの生活を自分らしく築いています。そんな仁田原さんに、「メキシコに住む」という日常をリアルに語っていただきました。
1.メキシコに初めて来たとき、最初に驚いたことは何ですか?
2016年9月、グアナファト空港に降り立ち、イラプアトへ向かう車窓からの景色に衝撃を受けました。サボテンが並ぶ砂漠でもなく、緑あふれる自然でもない、目に映るのは「ずっと茶色」。それまで抱いていたメキシコのイメージが、一気に覆された瞬間でした。
2.住み始めてしばらくして、「これは慣れたな」と思った瞬間は?
スペイン語の「Ahorita(アオリータ)」という魔法の(?)言葉に対する感覚が変わったとき。今やるのかな?と思って待っていても、全然動かない(笑)。“たぶん明日くらいかな”と受け流せるようになったのは、、ようやく3〜4年経った頃でした。
3.メキシコの食べ物で今も苦手なものはありますか?
エスカモーレ(蟻の卵)とチャプリネス(バッタ)は今もやっぱり苦手です。見た目がダメで…。ただ、オアハカ料理のお店ではよく出てくるので、日本からの出張者にすすめて反応を楽しんでいます(笑)。
4.一番好きなメキシコ料理と、その理由を教えてください。
ポソレが一番好きです。赴任直後、メキシコシティの「Casa de Toño」で初めて食べたのですが、やさしい味で日本人の口に合うと思いました。玉ねぎが苦手な私でも、トッピングを自由に選べるのが嬉しいポイントです。
5.メキシコのスーパーや市場で面白いなと思ったことは?
野菜や果物の種類がとても豊富で、色彩のカラフルさに驚きました。。特にチレ(唐辛子)は種類が多すぎて、今でも覚え切れません。そして、市場の目立つ場所に豚の頭がどーんと置いてあるのを見たときは衝撃的でした。今ではすっかり慣れ、市場グルメを楽しむのが大好きです。
6.休日の定番の過ごし方はありますか?
平日は外回りが多いので、週末は基本的に自宅でのんびり。ミシェルと太郎(2匹のパグ)と一緒にソファで寝転んでテレビを観る時間が至福です。予定がなければ、お昼まで寝てしまうことも。体調がいい日はゴルフの練習に出かけることもあります。
7.メキシコで初めて行った旅行先と、印象に残っていることは?
グアナファトです。ピピラの丘から見下ろすカラフルな街並みがとても印象的でした。迷路のように張り巡らされたトンネルもユニークで、街中のドアや窓のデザインの可愛さもも心惹かれました。今住んでいる家のドアには、手の形をしたドアノッカーをつけています。
8.イラプアトでのお気に入りのカフェやレストランは?
「GREEN GURU ORG」というベジタリアン系の小さなお店が好きです。コンテナを改装した静かな雰囲気で、スムージーの「サンシャイン(ココナッツ水・マンゴー・いちご)」は毎回欠かせません。もう一つは、オフィス近くのベーカリー「Pancomido」。お弁当を持っていかなかった日は、ここのパンを食べるのが楽しみです。
9.これまでにメキシコで経験したちょっとしたハプニングがあれば?
メキシコに来て間もない頃、腎盂腎炎で40度近い高熱が出て、イラプアトのMAC病院に2泊3日入院。病室が線路のすぐそばで、列車の音がうるさくて全然休めず…。もう入院はこりごりです。
10.ハプニングの続きですが、とっても驚いたことは?
4年前にマンションに引っ越した際、荷物の運搬中にに犬たちが脱走。探し回って無事保護できたのですが、帰宅すると 大きなシェパードが家の中に!上階の方の犬だったようで、そちらも脱走していたようです。まさかの“ダブル迷子事件”。今では笑い話ですが、当時は本気で心臓が止まりそうでした。
11.メキシコ生活で「これが欠かせなくなった!」というものは?
まずは保湿クリーム。とにかく乾燥がひどく、必需品です。そして、足の爪を切ってくれる専門店。看護師資格を持つ方が施術してくれて、深爪しやすい私には本当にありがたい存在です。

12.安全のために日々気をつけていることは?
Googleマップは100%信用せず、初めて行くエリアは必ずメキシコ人に安全か確認します。夜10時以降は外出しないようにしていて、飲み会は基本的に誰かの家。WhatsAppで位置情報を共有するのも習慣です。
13.健康管理で心がけていることは?
マルタ熱(※1)にかかった経験があるため、屋台での食事は控えています。脂肪肝と診断されてからは、栄養士に相談しながら食事を管理し、スーパーでも指定メニューに沿って買い物しています。医者選びも慎重に、必ずセカンドオピニオンを取るようにしています。
14.体調や健康で気にしていることは?
大好きなコーラを控えめにして、コレステロールや中性脂肪の管理に気を配っています。ジムは人が多くて合わず、最近は会社近くのピラティス教室に通っています。
15.日本にいた頃との違いを感じる場面はありますか?
病院の対応が大きく違います。薬が大量に処方されたり、「手術ですね」とすぐに言われたり…。日本の感覚が通じない場面も多くて、経験を重ねながら学ぶことがたくさんあります。
16.「これはメキシコならでは!」と感じた習慣や文化は?
誕生日をとても大切にする文化ですね。プレゼントや飾り付けを用意して、家族や友人みんなで盛大にお祝いします。そして「死者の日(Día de Muertos)」も印象的です。亡くなった人を悲しむのではなく、明るく楽しく思い出すお祭りで、色鮮やかな祭壇(オフレンダ)を囲んで語り合う時間には、人とのつながりや命を大切にする気持ちが込められていると感じます。 そんなメキシコの空気感を、私はとても気に入っています。
17.言葉で苦労したことはありますか?
ボリビア育ちなのでスペイン語は話せますが、メキシコ独特の言いまわしやリズムに最初は戸惑いました。ボリビアでは使わない表現も多く、慣れるのに時間がかかりました。でも、それもまた文化の面白さだと感じています。
18.これまで住んできた国の中で、メキシコはどんな位置づけですか?
これまでさまざまな国を転々としてきましたが、メキシコが最も長く暮らしている国になりました。言葉も、食べ物も、人との距離感も、全部がちょうどよくて、自分のペースで暮らせる心地よさがあります。
19.今後、やってみたいことやチャレンジしてみたいことはありますか?
もっと国内を旅してみたいです。特にビーチが好きなので、長期休暇が取れたら、南バハ・カリフォルニア州のLa PazからLos Cabosまで、愛犬と一緒にドライブでのんびり巡ってみたい。観光地ではない静かなビーチで、ただぼーっと過ごすのが夢です。
20.メキシコでの生活を振り返って、感じることは?
最初は不安や戸惑いも多くありました。でも、いつの間にかここが「帰る場所」のひとつになっていました。出会いや経験、うまくいかなかったことも含めて、すべてが自分を育ててくれた気がします。焦らず、比べず、自分のペースで過ごすことの大切さを、メキシコで学びました。今の私があるのは、「世界に出なさい」と背中を押してくれた亡き父、そして遠く離れていても支えてくれる母と妹たちのおかげです。また、メキシコに来るチャンスを与えてくれた会社にも心から感謝しています。この体験が、どこかで誰かの背中をそっと押すことができたら嬉しいです。
国を越え、文化を超えて暮らしてきた仁田原さんだからこそ語れるリアルなメキシコ生活。これからメキシコに来る方や、今メキシコに暮らす誰か方にとって、共感と発見のある20の答えだったのではないでしょうか。
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