料理の道、そしてメキシコへ、SATO・細川シェフ
- Shoko Wen

- 8月25日
- 読了時間: 4分

レオンの日本料理店「SATO」。その厨房に立つのは、31年にわたって日本料理に向き合ってきた細川シェフだ。日本・広島での長年の修業を経て、2021年よりメキシコでの挑戦を続ける細川シェフに、料理の原点からメキシコでの仕事、そしてこれからの夢までを語ってもらった。
<目次>
自転車競技から料理の世界へ

「料理の道に入ったきっかけは、実はマウンテンバイクでした」
高校時代、全日本選手権を目指していたという細川シェフ。旅費を工面するために寿司店で働き始めたのが、料理との出会いだった。
「マウンテンバイクの大会のある長野や北海道までの遠征費は全部自腹。遠征費を稼ぐために必然的に働くことになりまし。」
高校卒業後は大阪の調理師学校に通いながら、寿司店で本格的な修行を開始。その後、地元・広島に戻り、広島市内にある大きな料亭で18年間、腕を磨いた。
「料亭の後は繁華街の寿司割烹で2年、さらにふぐ専門店で3年間修行しました。日本のザ・食文化にどっぷり浸かった日々でしたね」
メキシコとの縁、そしてSATOへ
2017年、料理人として参加したグアナファト州で開催された広島フードフェスティバルがメキシコとの最初の接点だった。その後、SushitaiやSATOなどを手掛けるGrupo fynsoのオーナー・フェリペ氏からの誘いを受け、2021年に正式にメキシコへ渡る。
「ちょうど人生の転機というか、思い切って来ることにしました。」
それから4年。現在はSATOで、日々メキシコの食材と向き合い、メキシコ人の同僚と切磋琢磨しながら、本格的な日本料理を提供している。
日本料理をメキシコで——三つの壁
「苦労は大きく分けて三つあります。」
1. 食材の調達
「注文しても届かない、届いても質が悪いこともあります。日本のように目利きがいる八百屋さんがメキシコにはいないんですよ。そのため、いい食材で美味しいお料理を提供するため、おまかせコースの予約はなるべく早めにお願いしています。」
2.日本のお客様に“日本”を感じてもらうこと
「日本から来た人に、『ここはメキシコだったんだ』と忘れてもらえるような空間づくりを心がけています。」
3. 調理環境の違い
「水質、火力、調理器具の仕様など、全てが違う。特に水が硬水なので、出汁を引くのも一苦労です。」
SATOのおまかせコースとは?

「SATO」の人気メニューの一つが「おまかせコース」だ。
「内容はだいたい5〜7品で構成されます。前菜、刺身、焼き物(または肉料理)、そして目の前で揚げる天ぷら。ご飯物には寿司が多いですが、ブリカマの茶漬けなども好評です。」
さらに、煮物やデザートも加わることがある。料金は飲み物別で1,300ペソから。予約はできれば1週間前までに。特に週末はすぐに埋まってしまうため、早めの予約が推奨されている。
料理を通して生まれる出会い
「やっぱり喜んでもらえる瞬間が一番うれしいですね。」
料理人としてのやりがいは、食べた人の笑顔にあるという。異国の地・メキシコでも、日本とはまた違う人とのつながりが生まれている。
「メキシコにいると、日本では考えられない出会いや経験があります。ある意味、毎日が挑戦ですが、それが楽しいですね。」
将来の夢——もっと自由な日本料理を
最後に、これからの挑戦について尋ねると、目を輝かせながらこう語ってくれた。
「将来的には20席ほどの小さな店で、もっと伝統的な日本料理を自由に出せるようなお店をやりたいです。居酒屋みたいな気軽さもありつつ、しっかりとした料理を楽しんでもらえる場ですね。」
日本料理への情熱を胸に、メキシコという異文化の地で日々挑戦を続ける細川シェフ。その料理は、きっと異国で暮らす人々にとって、大きな「安心」と「発見」になっているに違いない。
※本記事の内容・価格等は2025年5月時点の情報です。予約・詳細についてはSATOの公式SNSやホームページなどをご確認ください。
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