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リセオ(日本メキシコ学院)「これからの世界で活躍する人材を育てることのできる学校、リセオ」石松学院長インタビュー

更新日:2022年10月6日



メキシコシティに1977年に開校以来、多くの優秀な卒業生を輩出した日本メキシコ学院(Liceo Mexicano Japonés, A.C. 以下、本文中はリセオ)。卒業生の中には日本とメキシコの発展に貢献している方々が名を連ねています。日本人とメキシコ人の両方の児童生徒を受け入れ、そこから多くの優秀な方々を輩出するリセオはどのような教育環境でしょうか。また、実際にどのような行事が行われているのでしょうか。


今回はそうした声にお応えすべく、リセオの石松学院長にインタビューを行い、リセオが今後目指す方向や求める人物像、行事のご紹介などを伺いました。

 

<目次>

 

日本の文化をベースとした教育をメキシコ人にも提供


ーリセオには日本コースとメキシココースがありますが、それぞれの学生数などについて教えてください。


石松学院長:リセオは日本コース(日本人学校の位置付けとなるコース)は小学部と中学部、メキシココースは幼稚部から高校部までとなっています。日本政府認定の日本人学校としての日本コースの中に厳密には幼稚部はありませんが、メキシココース幼稚部の中に日本クラスとして日本人子弟も通いやすいクラスを設けておりますので、実質的に日本人の御子弟には幼稚教育から中学までのサービスを提供しております。日本コース、メキシココースそれぞれの在籍数ですが、日本コースは小学部が93名、中学部が33名の合計126名。メキシココースは幼稚部が152名、小学部が383名、中学部が240名、高校部が183名の合計958名です(2022年7月現在)。


2020年からの新型コロナウイルスのパンデミックにより、2020年9月からはリモートでの授業も実施しました。リモートでの授業では日本からリアルタイムで参加するお子様もいらっしゃったほか、教職員も教材の作成やリモートでも子どもたちが飽きの来ない授業を工夫することに苦労しましたが、何とか乗り越えることができました。


ー日本人学校としての日本コースだけではなく、メキシコ人向けの私立学校としてのメキシココースの両方が共存するリセオです。こうした特徴を持つ教育機関は珍しいですね。


石松学院長:リセオは日本人学校でもありますが、日本の文化をベースとした教育をメキシコ人にも提供していることが特徴としてあります。リセオで学んだ子供たちが将来的に日墨の架け橋となれるよう、文化交流企画局を組織の中に設置しており、リセオの行事を外部に発信・卒業生の交流などの役割を担っています。私は2019年12月から学院長に就任しましたが、「よし!これから文化交流をもっと積極的に行っていこう!」とはりきっていたところで新型コロナウイルスのパンデミックになってしまいましたので、まだまだ日本コースとメキシココースのお互いの交流、価値観のぶつけ合いと共有といった交流活動を思う存分に進められていません。しかし同時にパンデミックを逆手にとり、メキシココースでは日本にすむ同世代の子供たちと、彼らが日々学んでいる日本語と英語を駆使して積極的にオンライン交流を行っています。


リセオの校舎・施設


日本人社会にとってメキシココースの存在は価値があると考えています。メキシコ人にも日本文化の持つ規律・誠実さを伝えているということを、メキシコ国内だけではなく多くの方に是非知っていただきたいです。


ー校舎を見ても、例えば階段に「のぼり・くだり」としっかりとシールが貼ってありますね。こうしたところだけでも、日本の規律をメキシコ人にも教えたいという想いが伝わってきます。


石松学院長:リセオの校舎・施設は、45年前に日・墨両政府の支援を受け、日系進出企業、日系メキシコ人の方々の寄付と大変なご尽力の結果建設されたものです。約37,500平方メートルの広大な敷地に2面の運動場や体育館、プール、講堂などを備えたメキシコでは珍しいほど充実した施設が整っています。 日・墨の先人たちが残してくれたこのハードとしての立派な資産に、建学の精神である両文化を理解できるグローバル人材輩出というソフトの資産を更に積み上げていくのが、あとに続く私たちの役目だと考えています。


各界で活躍するリセオの卒業生は大きな資産


これからリセオの掲げる課題の一つとして卒業生の人的活用があると伺っていますが、具体的にどういう風に活用されていくお考えでしょうか。


石松学院長:リセオの卒業生には医者・弁護士・大学教授・外交官など様々な業界で活躍されている方がいらっしゃいます。最近日本で活躍されている女優の上白石萌音さんもリセオで3年間ほど学ばれていました。皆さん非常に優秀な方ばかりで、日本とメキシコの架け橋になるような活躍をされている方がいます。


優秀な卒業生の活躍を在校生にも知ってもらう活動として、メキシコ日本商工会議所を通じてインターンシッププログラムを行ったり、”Liceo Talks”と称して卒業生の方にプレゼンテーションをしてもらっています。Liceo Talks は来年度以降、在校生向けに積極的に企画していきたいです。


ただ、こうした優秀な方々が現在どこで・どのような活躍をされているのか、リセオ側で未だしっかりと把握できていないことが課題の一つです。現在そうした人的資源をより活用のために、データベースの作成を進めていますので、この記事をご覧になった卒業性の皆様、是非登録をお願いします本記事最後にリンクがあります)!メキシコだけでなく日本、イタリア、ドイツ、カナダ、アメリカなど世界中にいらっしゃるので、リセオ創立50周年を迎える2027年には盛大に卒業生を交えてお祝いしたいですしね。


日本コースとメキシココースのより深い交流の場を増やしたい


ー新型コロナウイルスのパンデミックがある程度落ち着いていますが、今年はどのような行事を行いましたか。


石松学院長:リセオは2022年度より基本的に全ての学校活動を対面で行います。日本コースとメキシココースが行う運動会・文化祭は新型コロナウイルスのパンデミックの影響で2年間実施できませんでしたので、今年行うことを楽しみにしています。特に運動会は日本独特の文化の一つですし、メキシコ人の保護者の方も積極的に競技に参加されています。


運動会などの行事の様子


日本コースの小学校6年生(11月)と中学2年生(1月)は、修学旅行を行う予定です。また、メキシココースでは毎年6月にWorld Show という行事を行っています。この行事は児童生徒が日本語・英語・スペイン語を駆使して各国の文化をプレゼンテーションするというものです。この行事はメキシココースの生徒が行うものですが、日本コースの生徒も参加し交流を行っています。


しかしながら、創立以来両コースの交流事業が形式的なものになってしまい、もっと他の方法で日本コースとメキシココースの生徒が友達となり、交流の深化を図ることが出来ないかが課題の一つです。その一環として2020年、同じ学年の児童が通年で合同クラスに参加する「お友達になろうプログラム」を始めました。1年間、定期的に同じ授業に参加することにより、従来は運動会などの行事でしか触れ合うことができなかった両コースの生徒たちの交流もより活発化することを目的としています。


日本人学校は世界に約100校あります。繰り返しになりますが、日本人向けのコースとメキシコ人向けコースの2つが共存する学校は非常に珍しい環境だといえます。こうした環境を活かして異なる文化を知るという経験を幼い頃からどんどんしていただきたいというのが本来のリセオの設立の精神でもあります。異文化を理解しあうことが出来る人材というソフトの資産の形成を、他ではできないレベルで実現できると確信しています。


日本の大学からも評価されるリセオの人材


ー日本の各教育機関や自治体との連携もしっかりあるので、今後保護者のご都合で突然転校することが出てきても安心なシステムがリセオにはありますね


石松学院長:はい、それが在外教育機関の大きな役割だと思います。日本コースからメキシココース高校部に進学し、東京大学、筑波大学などの有名国立大学に帰国子女枠で合格した生徒も多くいます。一方、メキシコ人生徒の進路サポートとして、上智大学など日本の有名大学と複数の協定を結んでおり、昨年は特別推薦枠や外国人選抜枠で7名が進学しました。大学側からもリセオからの入学者は非常に優秀で、大学が求めているダイバーシティを理解できる・今後世界での活躍が期待される人材だと高い評価をいただいております。特に国立大学では英語トラックの理系学部に進学する生徒も多く、英語が堪能であることがプラスになってます。


また、日本との提携でいいますと、メキシココースの生徒が毎年日本に研修旅行に行きます。その際ホームステイをするのですが、受け入れ先の一つとしてリセオのあるメキシコシティの姉妹都市・名古屋市があります。研修旅行が終わった後も、メキシココースの生徒がホームステイの受け入れ先とメールなどでやり取りが続いているなど聞くと、研修旅行を実施して良かったと思いました。今後は日本への入国も緩和されていくと思われますので、よりリセオの生徒が外に出ていく必要があると考えています。


ーリセオの英語教育も定評があると聞きました。


石松学院長:メキシココースの英語レベルはメキシコ国内でもトップレベルで、同コース英語部教員による講座を日本コースの生徒も受講することが出来ます。当院は、地元有力紙レフォルマが毎年発表するメキシコシティ私立高校のランキングで、8年連続No.1の座を獲得しています。インターナショナルスクールでは英語は学べるけれど日本語の学習が不安に思われている保護者の方々には、是非一度リセオを選択肢の一つとして考えていただけたらと思います。


お互いの良い文化を吸収し、架け橋となる人材がリセオでは育成できます!


ー最後に、石松学院長の考える「リセオの卒業生・在校生に求める人物像」をお話しください。


石松学院長:異なる文化に触れることで、自ら考えぬくことが出来る子供になってほしいです。日本の規律も学びつつ、日本人に欠けているといわれている独創性や発言力を、メキシココースとの交流で補うことで、お互いの文化の良い点を吸収していただきたい。その先に、日本・メキシコの新たな架け橋となるような人材となることが期待できますので、是非リセオで学んでください!


経歴

石松 康司 Koji Ishimatsu


1982年に三井物産に入社し、発電プラント機器などの輸出などを扱う部署に配属になってアジア地域を担当していました。89年にメキシコに転勤となり、初めてラ米に足を踏み入れました。93年には当地でメキシコ人と結婚し、96年に帰国。その後、環太平洋の国々の発電案件の担当室長やカナダの発電事業会社の社長などを経て2008年から2016年までメキシコ三井物産の社長を8年勤めました。この間2009年にはメキシコ日本商工会議所(通称カマラ)から派遣されてリセオの理事を1年、更に11年から15年まではカマラ会頭を4年間務めさせて頂きました。 


2016年に帰国後、内部監査を担当し、ニューヨークに1年駐在して2019年夏に退職し、同年末からリセオの学院長をしております。子供はメキシコで生まれた長男と日本で生まれた次男がいますが、二人とも2回目のメキシコ駐在時代にそれぞれリセオの中学部・小学部を卒業しています。

 

編集後記


おそらく多くの読者の皆様が海外の日本人学校に抱くイメージは「日本と同じ内容の教育をそのまま行う」ことだと思います。今回リセオの石松学院長、広報担当の岩村さんにお話しをお伺いし、それは全くの間違いだったことに気付き、こんな学校で学べる子供たちは恵まれた環境だと感じました。特に現在はダイバーシティへの理解・外国語の習得・グローバルに活躍できる人材が数年前とは違い、より高いレベルで求められている状況です。そうした世間へのニーズにこたえた人材をリセオは輩出できるような環境であることは間違いないです。


優秀な卒業生の方々に積極的に交流を持ちたいという課題も真剣に取り組んでいる姿も印象的でした。近年卒業生と在校生、または卒業生同士の交流が希薄になりがちですが、オンラインなどを活用しながらリセオの卒業生・在校生がつながり、また新たなソフトの資産を産み出すことを、MEXITOWN編集部は期待しています。

 

学校情報


所在地:

Camino Sta. Teresa 1500 y 1510, Jardines del Pedregal, Álvaro Obregón, 01900 CDMX, México. MAP


ホームページ


リセオSNS公式アカウント(スペイン語のみ)

Twitter @LiceoMexJap_AC


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