メキシコ主要自動車クラスターと提携へ〜情報ネットワーク構築に向けた取り組み〜:Marklines Mexicanaコラム
- Shoko Wen
- 7月24日
- 読了時間: 6分

皆さんこんにちは。MarkLines Mexicanaの安達です。しばらくぶりの投稿となりますが、本日は、当社がこのたび締結した「情報の相互提供に関する協定」についてご報告させていただきます。
マークラインズは、自動車産業の調査・情報提供に特化した情報プラットフォームを提供しており、グローバルで8,000社を超える企業にご利用いただいています。
メキシコ現地法人であるMarkLines Mexicanaも、おかげさまで法人設立から3年目を迎えております。設立以来、現地企業様との接点を深める中で、より持続的で包括的な、そして現地に根差した情報ネットワークの構築が必要だと感じてきました。そうした取り組みの延長線上で、今回、メキシコ主要自動車クラスターとの情報連携が一つの形として実を結ぶこととなりました。
こうした動きの背景には、外部環境の変化が影響しています。2025年8月1日を前に進展があった日米間の自動車関税問題はその一例です。最大25%に達するとされた追加関税は、最終的に15%にとどまり、相対的には他国と比べて好条件が得られる見通しです。もちろん、バーターとしての条件は軽くありませんが、「何も決まっていない」という不透明な状況が続いていたことを思えば、今回の合意は大きな前進だと捉えています。
もっとも、メキシコにとっては2026年に予定されているUSMCA見直しを控え、その影響や全体像は依然として不透明です。関税や制度という不可抗力の変動を前提としながらも、米国自動車産業におけるメキシコの相対的な優位性は疑う余地がありません。だからこそ、いずれ必ずメキシコへの関心は再び高まると私たちは考えています。
その「来るべき時」に備えてこそ、今このタイミングで、現地における情報基盤をより充実させ、メキシコで事業活動を行う皆さまにとって実用的かつ有益な情報をお届けすることが、私たちの使命だと捉えています。
メキシコ経済と自動車産業の深い結びつき
メキシコ中央銀行(Banxico)によると、2024年の総輸出額は6,171億ドル、輸入額は6,253億ドルで、わずかな貿易赤字となっています。一方、自動車および同部品の輸出は1,939億ドル(全体の31.4%)、輸入は854億ドル(13.7%)と、圧倒的な黒字。数字が示す通り、自動車産業は同国の経済において“稼ぎ頭”として非常に重要な地位を占めています。
州レベルで進む産業振興:自動車クラスターの存在
メキシコには32州(メキシコシティ特別区を含む)があり、そのうち12州が「自動車産業を優先産業」として掲げ、州政府主導で外資誘致や各種支援策を展開しています。
各州には“自動車クラスター”と呼ばれる団体が設置されており、従業員教育や採用支援、展示会・セミナーの開催、新規ビジネス創出を目的としたBtoBマッチング、補助金申請や製造認証取得に向けたアドバイザリー、さらには地域プロモーションなど、非常に幅広い役割を担っています。それぞれのクラスターは他州と連携しつつも、外資誘致の場面では競争関係にもあり、州の魅力を高める努力を継続しています。

MarkLines Mexicanaの課題:情報提供力はあるが現地認知が課題
グローバルでは、8,000社超・50万人超のユーザーにご利用いただいているマークラインズですが、メキシコ現地においては、まだ十分な認知を得ているとは言えません。実際、取材や営業活動の現場では「どちらの会社ですか?」と問われることも多く、私たちの提供価値が伝わる前に立ち止まってしまうケースが少なくありませんでした。
調査・営業両面での活動を円滑に進めていくには、まず現地における信頼と認知の獲得が不可欠だと痛感していました。
突破口:クラスターとの相互提携という挑戦
そうした中、当社のメキシコ人営業メンバーから、「各州の自動車クラスターと情報連携ができれば、双方にとって有益な関係が築けるのではないか」という提案がありました。
メキシコは年間約400万台を生産し、自国販売は150万台前後。明確な貿易国家であり、私たちが持つグローバルな統計情報やサプライヤーデータベースは、各州に点在する部品メーカーが納入した製品が国外に出ていく構造を考えると、関心の高い情報と言えます。
なお、今回の提携に至るまでには、見えないところで多くの調整が重ねられました。本稿ではその経緯には触れませんが、現地メンバーの粘り強い尽力と熱意には心から敬意を表したいと思います。
成果:5州6団体との提携が実現
2025年7月24日現在、交渉を重ねた結果、以下の5州6団体との正式な提携が実現しましております:
Cluster Automotriz de Nuevo León 通称: CLAUT(ヌエボレオン州)
Clúster Automotriz de Jalisco 通称: CLAUT Jalisco(ハリスコ州)
Clúster Automotriz SLP(サンルイスポトシ州)
Cluster Automotríz de Guanajuato 通称: CLAUGTO(グアナファト州)
Cluster Automotriz de Querétaro(ケレタロ州)
Red Nacional de Clusters de la Industria Automotriz 通称:REDCAM(12州包括組織)
この提携により、各州が主催する展示会やBtoBマッチングイベントへの参加、取材活動への協力、各団体が発行する媒体への無償広告掲載、セミナー・勉強会への登壇など、さまざまな連携施策が可能となりました。
可視化されはじめた効果と今後への展望
実際に、当社サービスへのインバウンドリードは前年比で25%増加。取材活動においても、新規工場の落成式や現地企業へのインタビューなど、深度のあるコンテンツ制作が可能となっています。
特に今回の提携を通じて、メキシコ現地での認知度向上という点で明確な手応えが出てきており、当社の活動やサービスが、よりスムーズに伝わるようになってきました。
一方で、我々だけが恩恵を受けるのではなく、各クラスターに対しても情報提供を積極的に行っています。200名規模の購買担当者向けセミナーでの登壇や、中南米100名超の自動車関係者向けウェビナーの実施など、相互支援を前提としたWin-Winの関係構築を意識し、着実に取り組んでいます。
おわりに:バトンを次の世代へ
私自身、まもなくメキシコでの任期を終え、2025年8月に日本へ帰任する予定です。法人設立の準備期間を含めて3年間、社内外の多くの方々に支えられ、北米・中南米自動車産業の最前線で情報事業に携わることができました。心より感謝申し上げます。
8月には後任へとバトンを渡しますが、今回の連携協定が一過性のものではなく、持続可能な情報ネットワークの礎となることを願っています。マークラインズはこれからも、自動車産業の「変化の先頭に立つ情報プラットフォーム」として、業界の発展を支えてまいります。「自動車情報と言えば、マークラインズ」。メキシコにおいても第一想起いただけるパートナーとなれるよう前進してまいります。誠にありがとうございました。
*7日間無料トライアルの申込みはこちらからhttps://www.marklines.com/ja/members/sign_up*サービス資料https://www.marklines.com/statics/support/guide/InformationPlatform_JA.pdf
執筆者
MarkLines Mexicana 安達
マークラインズポータルサイト: https://www.marklines.com/portal_top_ja.html
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