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「日本と同じクオリティの日本食を、是非召し上がってください」メキシコシティ灘・長谷川料理長インタビュー



メキシコシティのレフォルマ地区にあるMO+Fと同じ建物の3階にある和食レストラン「灘」。木製のカウンター越しに提供される一つ一つ繊細な料理に日本を思い出し、一日の疲れが癒されます。


今回、そんな「灘」の料理長の長谷川氏にインタビューをしました。メキシコに来るまでの経緯や灘のお料理に対するこだわりなどを伺いました。

 

<目次>

 

揚げ物も包丁も怖くなかった


―まずは、長谷川さんの自己紹介をお願いします


長谷川料理長:私は千葉県・富津市の漁師の一家に生まれました。漁師は朝早くから海に出て魚を捕り、戻ってきてからは捕った魚を捌いて干物にするという生活なので、私が幼い頃から両親は家にいないことが多く、小学校の頃から自分で料理をすることが多かったですね。包丁を使うことも、揚げ物をすることも全く抵抗なくすんなり入れました。周りも漁師の家が多く、私のような子供は多かったです。


―小学生の頃から包丁でお料理を!もうすでに料理人としての気質があったのですね。


長谷川料理長:(照れた様子で)そうですかね。兄も板前で、親戚にも板前の方が多いです。祖父は神戸のアメリカ大使館で料理番として働いていたこともあったので、確かに料理人一家かもしれませんね。


その後、東京で板前として働いた後、コスタリカ大使館で公邸料理人として勤務していました。そこでコスタリカ人の妻と出会い結婚しました。


メキシコの日本食のレベルは年々アップ


―そしてコスタリカからメキシコに来たきっかけは何だったのでしょうか。


長谷川料理長:コスタリカ人である妻が過ごしやすいスペイン語圏を考えたときにメキシコが思い浮かんだからですね。最初候補としてバルセロナとマイアミがありましたが、どちらも中南米とは生活習慣も違うので慣れるまでが大変かなと思い、メキシコを選びました。


メキシコは2004年頃に来ましたが、その少し前のメキシコは“なんちゃって日本食”がまだ多く、ここ10年くらいで一気にレベルアップした感じがします。ラーメンやお寿司の専門店が多くでき、もはや“なんちゃって日本食”は通用しなくなってきたと思います。


―コスタリカでも働いたご経験をお持ちの長谷川さんですが、メキシコに来られた際はそれでも苦労することがあったとか・・・


長谷川料理長:実はコスタリカ大使館では料理を一人で作っていたので、外国人の方と働いたことがメキシコに来て初めての経験でした。大分慣れては来ましたが、どうしても日本での感覚が抜けなかったですね。例えば板前と見習いだと、日本では板前から厳しい指導をすることが日常茶飯事ですが、同じようにメキシコ人の見習いに対して怒鳴ったら大変です。もう翌日から来てくれないだろうし、酷い時は逆恨みをされてしまうこともあると思いますので、すごく頭に来ることがあっても怒鳴らないように、自分の心を落ち着かせるようにしています。



品質をいかに安定させるかを常に考えている


―灘のお料理は素晴らしいお料理が沢山ありますが、お料理に対するこだわりを教えてください。


長谷川料理長:日本で行っていたことをそのまま再現することです。材料・器具をスタッフに上手く使いこなしてもらい、日本で提供するお料理と変わらない品質を保つことを心掛けています。なかなか日本料理にある塩梅という概念を伝えるのに苦労していますが、これも慣れていくうちに肌感覚で身に着けていってもらえたらと思っています。


素材でいえば、コスタリカにいたときに筍がなかったのでどう筍を再現するか考えたことがあります。ヤシの実の茎が筍の食感に似ていることを発見し、筍の代わりに利用していたことがありますね。出汁も20年くらい前は自らかつお節を削っていたのですが、今ではメキシコでもかつお節が手に入るようになったので出汁の品質の安定が実現できてうれしいです。



そうはいっても食材が手に入らないときは品質の安定をいかに守ることができるのかを考えています。醤油一つをとっても塩分や風味が違い、お料理全体に影響がでてしまいますから。いつも売っているものが売っていない、使いたいときに売っていないということもしばしばあります。例えば以前薄揚げが手に入らない日が続き、おでんで餅巾着を提供できなかったことがあります。また、メキシコでは野菜や海産物の規格が揃わないことが多いですね。大きさが不揃いだったりするので、大きさを揃えるのに手間がかかっています。


また、メキシコシティは標高が高く沸点が低いため、家庭で揚げ物をされるときに苦労されている方も多いと思います。油の温度が低いと余計に油を具材が吸収して、揚がった時にベチョベチョになってしまいやすいです。そうしたことを避けるために油を多めに使い、短時間で揚げるように心がけています。


本格的な日本料理を是非灘で味わってほしい


―灘のおススメのお料理を3つ挙げてください


長谷川料理長:全部です!といいたいところですが、メキシコ人の方にも人気のある3品をご紹介します。



1.すき焼き

灘の人気No.1メニューです。日本から輸入した和牛を使っており、メキシコ人の方で初めて和牛を召しあがった方々は皆様感動されます。




2.しめ鯖

〆具合がなかなか難しいしめ鯖ですが、だんだんメキシコ人の常連さんの方やSNSなどを見てこられた方の間で好評です。メキシコ人の方も舌が肥えてきているなと感じますね。



3.天ぷら

どの具材も人気ですが、時期になると出回る天然きのこの天ぷらがおススメですね!また、メキシコ産のハゼは軽くてふわっとしており美味しいので是非ご賞味いただきたい一品です。


今年の5月に完成した個室スペース。まるでメキシコにいるかを忘れるような空間で、

本格的な日本食を頂くことが出来ます。ご利用の方はご予約がおススメです。


迷わず、メキシコへ!



―最後に読者の方へ、長谷川さんよりメッセージをお願いします。


長谷川料理長:迷わず、メキシコに来てください!メキシコはまず物価が安い、(普通に生活していれば)治安が思っていたほど悪くない、なんでもある、気候が良い、の4拍子です。日系企業も多く、日本人人材を必要とした仕事もあるラテンアメリカの“大国”です。勤勉さなどが重なり、日本という国は成り立っています。一度日本を出て、日本を見直し、日本がいかにいい国・世界から称賛される国であるかが見えてきます。

若い頃の方がやり直しも聞きますので、ほんのちょっとの一歩が出ないと悩んでいる読者の方には、繰り返しになりますが迷わず、「メキシコにいらしてください!」


―ありがとうございます!


 

編集後記


インタビューをしている際も厨房の様子を常に気にされており、何か少しでもスタッフの方に困ったことがあったらすぐに駆けつけていた長谷川料理長の姿が今でも印象に残っています。お料理もどれも日本で頂くものと変わらない盛り付け・味で、今自分がメキシコシティにいることを忘れさせてくれるような気分になりました。


幼い頃から包丁などの調理器具に慣れていたという背景があり、そこから太平洋を渡りコスタリカ、そしてメキシコへ。素材の供給が安定しないなどといった要素もありますが、そんな中でもクオリティの高い日本料理を提供しようという気持ちが伝わってきました。


今後も変わらないクオリティで日本料理をメキシコシティで提供されていくと思うと、訪れるたびに新しい感動を味わえそうです。

 

店舗情報


住所:Río Pánuco 128, Cuauhtémoc, 06500 Ciudad de México, CDMX

Tel(whatsapp同じ):55 3054 3356

営業時間:水~月 17時~23時

定休日:火曜日

 

執筆者紹介:




温 祥子(Shoko Wen)

MEXITOWN編集長兼CEO。メキシコ在住5年半。MEXITOWN立ち上げて今年で3年目に突入。これからも様々なジャンルの方をインタビューしご紹介していきます!趣味は日本食をいかにメキシコで揃えられる食材で作ることができるか考えること。日本人の方が好きそうな場所を探し回ること。



MEXITOWNへのお問い合わせはこちらのフォーマットから承ります
(お急ぎの方は右下chatboxでご連絡ください)

送信ありがとうございました

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