Hola!皆さんこんにちは、Tequila Ray Tradingのレイです。欧米で定番中の定番のスピリッツの一つ、それはテキーラです!日本にも愛飲家が年々増えてきて、私はテキーラの知識と正しい楽しみ方の普及活動に力を注いてます。そこで今日はいつもとちょっと違う角度で、もっと多くの方が馴染みがあるウィスキーを通してテキーラを学びましょう。
<目次>
ウィスキーとテキーラの主な製法:
まずはこちらの表をご覧ください。
ご覧の通り、ウィスキーとテキーラは沢山違いがありますよね。
原料の違い、「穀物」VS「アガベ」
ウィスキーはその土地で作られた穀物、つまり種の部分で作られます。英語でグレイン(grain)、その中の麦芽はモルト(malt)といいます。テキーラはメキシコで作られたブルーアガベの球茎で作られます。スペイン語でピニャ(piña)といいます。
お酒もご飯と同じ、お米の産地と育て方によって風味が違いますし、同じ米を使っても炊き方と使用する炊飯器次第で味の差が出てきます。スピリッツは蒸留酒のため、原料の種類と産地でしか作れない香りと豊かな味が凝縮され、大地の恵みを感じれて、旅した気分にもなります。
産地の違い、「ローランド」VS「ハイランド」
ウィスキーを愛飲する方々はもちろん、あまりウイスキーを飲まない方でもこの二つの名前を聞いたことがあるかもしれません。ローランドとハイランドはスコッチウィスキーの6大産地の中に一番有名な二つです。スコットランドのダンディーシティー(Dundee)とグリーノックタウン(Greenock)の間の想定線より北の地方は標高が高めのため、「ハイランド」(高地)といいます。想定線より南は標高が低めのため「ローランド」(低地)といいます。
テキーラも似たようなことがあります。生産量のダントツトップのメキシコのハリスコ州の中にも「ロス・アルトス」(Los Altos)地方と「ロス・バジェス」(Los Valles)地方があります。スペイン語でアルトスは高い所、バジェスは谷という意味なので、名前の通りロス・アルトスの標高はロス・バジェスより高い。日本ではよくスコッチウィスキーの高地と低地のように説明されてます。
実はかなり意外なところですが、ロス・バジェスは全然低地ではないんです!スコッチウィスキーのハイランドの中に、標高が一番高いダルウィニー蒸留所(Dalwhinnie Distillery)の海抜は351m。それに対してロス・バジェスの中心のテキーラ村の海抜はなんとその3倍以上の1,180mもあります、とても低地とは言えませんね(笑)。
糖化方法の違い、「麦芽の発芽」VS「アガベの釜焼き」
ウィスキーとテキーラ作りに欠かせないのは糖化する過程です。ウィスキーの場合は大麦を発芽させて、麦芽(モルト)の酵素ででんぷん質を果糖とブドウ糖などに転換します。テキーラの場合はアガベの球茎(ピニャ)をレンガ釜(マンポステラ)や圧力釜(アウトクラベ)に入れて、数時間~数日間で高温の水蒸気でアガベのでんぷん質(イヌリン)を果糖とブドウ糖などに転換します。近年、大量生産のためアガベを焼かない新しい作り方(ディフューザ) もあります。
各メーカーの手法により、発酵できる糖類の産出量とその過程に出てきたほかの成分も、最終製品にも影響します。発酵できる糖類の量が多ければ沢山のお酒が作れる、他の成分が多ければ最終的の製品の味と香りも多くなります。
発酵と蒸留
次に糖化された原料の汁液を絞り出して、天然酵母や特定酵母を入れて発酵させます。発酵できた麦汁はウォッシュ(Wash)、アガベジュースはモストムエルト(Mosto Muerto)といいます。その度数は大体ビールと同じ6-7%前後です。
そしてここから度数を持ち上げるため、蒸留の過程はここから入ります。テキーラはメキシコの法律で必ず2回以上(上限なし)に蒸留しなければならないに対し、ウィスキーは法律で最低蒸留回数を規定していないですが、蒸留技術上1回で40%以上に持ち上げることは極めて難しいため、自然に2回以上の蒸留になります。
単式蒸留器と連続式蒸留器の違いはその名前の通り、単式は一つのオペレーションで1回の蒸留サイクル、連続式は一つのオペレーションで複数回の蒸留サイクルができます。連続式蒸留器イメージは沢山のミニ単式蒸留器が入ってるような感じです。
単式のメリットは、アルコール以外の香りと味の成分を沢山抽出できますので、風味豊かプレミアムものが作りやすいです。逆にデメリットは、生産量が少ないと同じ生産時間が比べて長いことです。
連続式のメリットは生産時間の短縮、生産量が大きいことと、一つのオペレーションで作れます(単式の2回蒸留は2オペレーションになる)。デメリットは蒸留する回数が多いため(大体最低5回以上)、風味が失われやすいです。消費量が多い大衆ブランド作りには向いてます。日本の焼酎も似たようなことが言え、甲類焼酎は連続式で作られ、乙類焼酎(及び本格焼酎)は単式で作られます。
樽の種類と熟成年数
ウィスキーは原料以外に、一番重要な要素はやはり樽に寝かせて、それで出てきた香りと味です。使用できる樽の種類や最低年数は、全世界共通のルールがないので、国によって違います。例えばスコッチウィスキーは最低3年以上(実際は10年以上が多い)熟成させます。アメリカのバーボンウィスキーは新樽で最低2年以上に熟成させます。日本のジャパニーズウィスキーは法律上最低熟成年数の規則がありませんが、民間の団体では、最低2年以上樽熟成のものだけ「ジャパニーズウィスキー」の定義を検討しています。
テキーラは熟成期間で五つのカテゴリーに分けられてます。
ブランコ(Blanco)、樽熟成なし~2か月未満の熟成
レポサド(Reposado)、2か月~1年未満の熟成
アネホ(Añejo)、1年~3年未満の熟成
エクストラ・アネホ(Extra Añejo)、3年~上限なしの熟成(大体は5年以内)
ゴールドまたはホーベン(Gold o Joven)、樽熟成なし。キャラメル色素でゴールド色にさせたもの。またはブランコとレポサドのブレンド。
それぞれの楽しみはが自由ですが、アガベの独特な風味を楽しもうとしたら、樽の味がない(むしろ極めて少ない)ブランコをおすすめします。ウィスキーの愛飲家や樽感が好きの方はエクストラ・アネホをおすすめします。アガベもほしいし、樽の風味も捨てがたい方には、バランスがいいレポサドや、熟成年数が少なめのアネホなら両方同時に楽しめます。
樽熟成年数とクオリティーの関係
一般的に、市販のウィスキーの年数は10年以上が多いに対し、テキーラの熟成年数がかなり少ないと感じませんか?それはウィスキーがテキーラより高級なお酒のことでしょうか?もちろんそんなことがないです(笑)。
お酒は嗜好品であり、好きな種類と楽しみ方は個人の自由です。熟成年数は大事ですが、お酒の良さの唯一判断基準ではないと思います。テキーラの熟成年数はウィスキーより少ないの理由は主に次の二つと考えます。
1、原料アガベの風味をストレートで味わいたい
アガベは大麦などの穀物と違って、毎年収穫できず、完熟するまで6-7年がかかります。せっかく長い歳月にかけて育てたものなので、そのユニークな風味が樽に邪魔されず味わいたいです。例えば、蕎麦好きな人にとっては、質がいい十割蕎麦はもちろんざるやもりで食べたいですね!カレーそばにしてもおいしいですがもったいない気持ちと一緒です。
2、メキシコの「エンジェルズ・シェアー」
皆さん、「エンジェルズ・シェアー」(Angel’s share)のことをご存知ですか?実は木樽は気密性ではないので、毎年(むしろ毎分毎秒)入ってるお酒が徐々に隙間から蒸発していきます。昔の人はこの現象を「天使への分け前」と呼んでいました。
エンジェルズ・シェアーはその環境の温度と湿度に大きく影響されます。湿度が高い寒冷地(スコットランドなど)は毎年2-5%ぐらい、20~30年熟成することもできます(最後の残りは少ない)。それに対し、乾燥して暑い国(メキシコなど)は毎年10%以上は普通にあります。つまり、メキシコのエンジェルは酒豪なので、10年熟成スーパー・エクストラ・アネホ(勝手にネーミング)を作ろうとして、10年後蓋を開けると、樽の中にテキーラがありません、空になった樽には天使の一筆箋で「Gracias」(ありがとうね、美味しかったよ!)しかないかもしれませんね。
※ごく一部のテキーラの銘柄では、熟成する場所の温度と湿度の管理をしてエンジェルズ・シェアーを抑えて、10年以上の熟成も可能となりました。
スピリッツを正しく楽しもう!
映画の主人公がショットグラスでグイッて飲むシーンはよく見ますよね?ストーリーの進行や主人公の性格を表現するために、一気飲みとその直後の反応(よくても悪くても)がすごく分かりやすいと考えます。映画の世界は日常生活よりも大げさなので、真似する必要はないです(笑)。
スピリッツは40%以上が多いですので、普段ビールやワインを楽しむ方々にとってはちょっと強く感じるかもしれませんが、まずはカクテルで楽しんでもらいたいです。皆さんよく飲むハイボールは、氷とソーダ水とウィスキーかテキーラだけで自宅でも作れる、とっても簡単で作れるカクテルです。スピリッツ1杯でも3杯のソーダ水で割ったらワインに近い10%前後の飲みやすいお酒になります、泡の爽やかな感じとのどこしが抜群です。
自分好みのウィスキーやテキーラのハイボールを見つかったら、その次にやはりストレートやロックで楽しんでいただきたいです。まずは飲む前に香りを嗅いで、原料と香りを楽しんだら、他の酒を飲むときの一口の半分や1/3ぐらいの量でちびちび飲んで、最初の灼熱感を少し耐えたらスピリッツの甘味とうま味が広がってくれます。その次は飲み込んでのどで感じましょう!喉は味を感じれないですが、飲み込んだ後舌に残った味と、息を返ったとき鼻で感じる香りの変化はもう一つの楽しみになりますよ!
いかがでしょうか?スピリッツの世界は入りやすく、知れば知るほど奥深いです。よく大人の飲み物といわれますが、オシャレでカジュアルな楽しみ方があります。自宅にいる時間が長くなる今こそ、必要のないお付き合いはせず、好きな音楽を聴きながら好きなお酒と過ごしていきましょう~!
執筆者:レイ
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参考リソース:
ウイスキー
スコッチウィスキー
スコッチウィスキーマップ
ハリスコマップ
※本稿は執筆者の個人的見解であり、MEXITOWNの公式見解を示すものではありません。記事に関するお問い合わせは執筆者までお問い合わせください。
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