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【特別インタビュー:国際交流基金様】オンラインとリアルの世界のハイブリッド事業で、日本文化を発信する

更新日:2022年6月7日


こんにちは。今回は特別インタビューとして、国際交流基金様にインタビューをしました。メキシコシティ・ポランコにあるメキシコ日本文化センターの図書館の紹介から、昨年のコロナウイルスのパンデミック下においても様々な活動をされてきた国際交流基金。今後、パンデミックが落ち着いた後どのような取り組みを実現していくかなど、杉本所長にお話を伺いました。

 

<目次>

3つのメインの事業

 

国際交流基金のミッション ”日本の友人をふやし、世界との絆をはぐくむ”

MEXITOWN(MT):こんにちは、本日はお時間を頂きましてありがとうございます。早速ですが、 国際交流基金のご紹介をお願いします。


国際交流基金・杉本所長:こんにちは。こちらこそ本日はありがとうございます。国際交流基金は、外務省所管の独立行政法人として1972年に設立されました。本部は東京にあり、世界24カ国25拠点(うち2箇所はアジアセンター連絡事務所)と国内2つの附属機関(日本語国際センター、関西国際センター)と支部(京都)があります。メキシコには1987年、メキシコ大使館の中に設置され、1997年に現在のポランコの場所に移り今に至ります。


国際交流基金のミッションは、”日本の友人をふやし、世界との絆をはぐくむ”です。日本と世界に交流の場を設け、相互理解を促進する活動を通して、世界平和に貢献することが基金の目指すところです。 


メインの事業としましては、次の3つの交流事業を柱としています。


1.文化芸術交流

日本の伝統芸能や現代の舞台芸術(舞踏、音楽、芝居)を世界に紹介しています。日本の舞台芸術のアーティストを招へいしたり、現代美術作品の展示をしたり、日本の映画の上映会や紹介を行っております。メキシコでは今後7月に鈴木清順監督作品の映画祭をCineteca Nacionalで開催、9月にメキシコ独立200周年記念がアグアスカリエンテスで行われる際に、日本音楽集団(琴、尺八、和太鼓などの和楽器奏者)のパフォーマンスを実施予定です。また、10月にグアナファト州・グアナファト市で開催されるセルバンティーノ国際芸術祭には、沖縄民謡で有名な平安隆氏も招へいします。



2.日本語教育支援

国際交流基金では日本語を直接教えることはしていませんが、海外で日本語教育に携わる方々への支援として、日本語教育の教師向けセミナーの開催や教材の作成・提供を行っております。また、関西国際センターでは日本語を学ぶ外国人の方にオンラインでの学習教材の開発を行っております(教材はこちら)。メキシコでは2019年にビデオコンテストを行い、メキシコの方々がお祝いや記念日をテーマとして日本語でビデオを作成してもらうイベントを行いました。優勝者には日本行きの航空券とホテルが用意され、日本に行った際に日本の様子もビデオで紹介するといった試みも行いました。


3. 日本研究・知的交流事業 

日本研究を行っている海外の大学や日本研究者の研究活動を、フェローシップやシンポジウム開催にかかる経費を支援しています。また、知的交流事業として、世界の共通の課題を日本とメキシコそれぞれの経験と立場から解決していく事業も行っております。メキシコでは、 環境問題について取り組んでいる日本の建築家・イノベーターをメキシコに招へいし、メキシコ人の専門家との交流を行う、ソーシャルイノベーション事業を2020年3月に行いました。オアハカ、モンテレイ、メキシコシティの3都市を回るスタディートリップの中でセミナーを開催し、メキシコの若手起業家たちとの意見交換をしていただきました。




メキシコ日本文化センター内の図書館 雑誌から小説、漫画まで揃っています


MT:日本の伝統文化を紹介する以外にも、知的交流事業や日本語教育支援などの事業があるんですね。メキシコでも様々な形での事業を行われていますが、その中でも日本の知識や文化を広める役割を果たしているのが、メキシコ文化センター内の図書館ですね。


メキシコ文化センター内の図書館の様子。蔵書数はなんと約12,000冊!


杉本所長:はい、その通りです。メキシコ文化センター内の図書館は一般の方にもご利用いただけます。日本語・スペイン語・英語の書籍・雑誌を約12,000冊ほど取り揃えております。日本語の書籍では芥川賞・直木賞を受賞した文芸書、鬼滅の刃や呪術廻戦など近年海外でも人気のある漫画、定期刊行物の雑誌(AERA、オレンジページなど)があります。スペイン語の書籍では日本の歴史や経済、建築、美術を紹介している書籍、スペイン語翻訳された小説があります。


MT:こちら貸出も行っていらっしゃいますが、遠方の方向けに郵送貸し出しはありますか。


杉本所長:申し訳ございません、メキシコの郵便事情から郵送での貸し出しは行っておりません。ただ、コロナウイルスのパンデミックの影響で当基金のオンライン事業が進んできましたので、将来的には電子書籍をそろえた電子図書館の開設も検討出来たらと考えております。


MT:電子図書館、楽しみにしております!昨年のパンデミックの影響でオンライン事業について、詳しくご紹介ください。


パンデミック禍の中、オンライン事業を展開


杉本所長:2020年3月に行ったソーシャルイノベーション事業がリアルの現場で行った事業の最後でした。丁度その事業が終わったころ、米国や欧州・日本でパンデミックが流行し始めた頃からメキシコでもいずれ流行が来ることを想定し、昨年4月の早い段階から準備をすることが出来ました。まず、講演会シリーズを配信し、日本の文化・芸術・メキシコ人アーティストの紹介をしました。5月には疫病予防で知られるアマビエコンテストを実施し、アマビエの絵を募集しました。


アマビエコンテスト優勝者が描いたアマビエ


また、4月から5月にかけてシネクラブを開設し、JFF(Japanese Film Festival)で上映された映画について意見交換を行ったり、2018年に米Forbes誌の「アジアを代表する次世代を担う30歳以下の30人」に選ばれたシシ・ヤマザキさんを講師に迎え、身体の変化というテーマで自分たちの身体の動きをメキシコ人参加者にアニメーション化した作品を作ってもらうマスタークラスを実施しました(公式Youtubeで全作品公開中)


日本とメキシコ 架空の都市を旅するオンラインエキシビション Overworld


コロナウイルス禍により国際間の移動が制限されました。そこで少しでも旅行した気分を味わってほしいという想いから、京都でアーバニスト・イン・レジデンス・プログラムを主宰する「Bridge to Kyoto」と、メキシコシティに拠点を置くキュレーション・プラットフォーム「Proyector」をキュレーターに迎え、日本とメキシコのアーティスト、建築家、イラストレーターら総勢15名が参加したオンラインエキシビション「Overworld」を開設しました。日本とメキシコの都市、建築、ライフスタイルを切り取る5つのテーマを「島」にみたて、写真、テキスト、アニメーション、イラストなど表現方法でその風景をオンライン上の架空の地図に再構築する試みとなります。


日本側キュレーターを務めた「Bridge to Kyoto」の杉田真理子氏がガイド役となり、実際に「Overworld」を訪れながら皆さんにエキシビションの内容をご紹介するガイドツアー動画を公式Youtubeにて配信しています。エキシビションは日本語、英語、スペイン語の3か国語対応で、スマートフォンやパソコンから接続し、マウス操作によってインタラクティブな鑑賞体験をお楽しみいただけます。2021年11月末日まで開設していますので、是非一度ご覧ください。


Overworldサイト https://www.overworld.mx/


コロナ禍での日本語教育の実践を支援


昨年4月からメキシコでは教育機関が殆どオンライン授業に移行されました。日本語教師の方々は急にオンラインに切り替わったことにより、日本語をどうオンラインで教えたらいいか戸惑う方も少なくはなかったです。オンライン学習向けの教材も充分にない・・・そこでないならば皆さんで作成しましょうということで、オンラインの日本語教材の作成コンテストを開催しました。この時入賞した6作品はこちらからダウンロードいただけますので、もしお困りの方がいらっしゃいましたら参考にしてください。


日本文化を通して日本語を勉強する


日本文化の紹介

日墨協会と協力して、日本文化を通して日本語を勉強してもらうコンテンツもYoutubeの公式チャンネルに掲載しました。和食、茶道、書道、日本舞踊、剣道などそれぞれの分野の専門家をお招きしご紹介しております。



和食と俳句

長引く外出自粛で、日本食レストランも臨時休業。大好きな和食を食べに行くことができないという方向けにご家庭でもメキシコの食材を使って日本食を作る紹介もしました。一つの工夫として、日本食と俳句を結び付け、日本の四季を知っていただくように、エッセイストでフードジャーナリストの向笠千恵子さんをお招きし、食の俳句をご紹介いただきました。この時に作成した俳句とエッセイ・日本食のレシピの冊子は、ダウンロードしていただけます。


MT:日本文化を外出しなくても学ぶことができ、仮想空間で日本に行った気分になるーこうした体験をオンラインで実現するという取り組みを沢山行われてきていますね。世界中が一気にオンラインで授業やコンテンツの紹介という流れになっていきました。


オンライン事業が進む中で気付いたこと


杉本所長:そうですね、当基金はメキシコ以外の中米・カリブ諸国も管轄エリアではあったのですが、オンラインになったことで公式サイトのコンテンツを他のスペイン語圏の国の方からも知っていただく機会となりました。他方、その中で気付いたこともありました。メキシコの地方都市や他のスペイン語圏の地域ではインターネットの環境が悪く、オンライン授業をうけられない人もたくさんいるということです。こうした方にも日本語教育を提供したい。そこでメキシコで日本語を教えている現場の先生方と協力をし、「IT環境未整備地域・学習者向け日本語教育支援」ハンドブックを作成しました。インターネット環境が整っていなくても楽しく日本語を多くの方に勉強してもらいたいという想いが込められています。


オンラインとリアルの世界でのハイブリッド事業を目指す


MT:最後に、 今後、展開していきたい事業や活動をお話ください。


杉本所長:このコロナウイルスのパンデミック下においてオンラインで事業するノウハウを身につけることができました。今後はオンラインとリアルの世界それぞれの良いところ取りができるようなハイブリッド事業を展開していきたいです。7月に開催予定の鈴木清順監督の映画祭ではリアルでのイベントと並行して、オンラインでのコンファレンスを開催し、作品の特徴などの解説を当基金の公式のチャンネルで閲覧できる予定です。


また10月に開催されるセルバンティーノ国際芸術祭に合わせて、三線とはどういうものかを解説する動画も発信予定です。こうしてオンラインとの組み合わせにより、もう少し踏み込んでイベントの内容や世界を知っていただきたいという気持ちがあります。


MT:確かに、予備知識のないまま会場に行ってイベントに参加するだけでは、作品やパフォーマンスを充分に楽しめないことがあります。そうした方や遠方で参加できないといった方にも事前の解説動画やオンラインの講演会はコロナウイルスのパンデミック禍に関係なく、今後も必要とされていく気がします。本日は杉本所長、ありがとうございました!


過去のイベント、展覧会の様子

 

編集後記


国際交流基金というと、メインの事業の日本文化を世界に発信する印象が強く、今回取材を通して伝統文化だけでなく、POPカルチャーや建築、クリエイティブの分野を数多く発信しているということに驚きました。コロナウイルスのパンデミック下でも日本文化の発信を止めず、様々な工夫をして楽しんでいただく試みは公式Youtubeサイトを拝見しても伝わってきました。


また、コロナウイルスのパンデミック収束後もオンラインとリアルをどう繋げていくかという先の課題も見据えており、今後開催されるイベントが楽しみになってきました。取材に応じていただいた杉本所長もとても気さくでお話しやすく、1時間強のインタビューはあっという間に終わってしまいました。日本人でメキシコ人に日本文化や日本語を教えるのに教材に困っている方は是非、以下の国際交流基金の公式YoutubeチャンネルやSNSをフォロー・登録してみてはいかがでしょうか。

 

国際交流基金 メキシコ日本文化センター






所在地:Avenida Ejercito Nacional #418 Int. 207, Colonia Polanco V sección C.P. 11560, CDMX, México

お問い合わせ先:

Tel:+52 (55) 5254 8506


メキシコ日本文化センター図書館

開館時間:月~金 10:00 ~ 18:00

 ※書籍の寄付のご案内:本帰国などで不要になった書籍の寄付も受け付けております。

 ※2022年5月30日より、予約なしでお越しいただけます


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