第26回メキシコで頑張る人にインタビューは、MAYA MEXICOの八尾様です。2020年7月に立ち上がったマヤの人々の生活向上や教育・女性の地位向上を目指すプロジェクトで、支援の形としてマヤ刺繍をあしらった小物や、その他の地域で生産されるメルカドバッグなどを日本で輸出・販売し、メキシコやマヤの文化を広めたいというのが活動の目的となっています。そのプロジェクトに携わる八尾様にお話を伺いました。
<目次>
マヤの人々の生活向上と女性支援を目標としたプロジェクト
MT:こんにちは。本日は宜しくお願いします。MAYA MEXICO のオンラインサイトを拝見しましたが、どれも素敵なデザインですね。MAYA MEXICOの簡単な紹介をお願いします。
八尾様:ありがとうございます。MAYA MEXICOは2020年7月に立ち上げられたプロジェクトの一つです。メキシコ政府認定のNPO法人「マヤ女性の尊厳を守る会」とともに、マヤの人々の生活向上と女性支援などを目標とし、マヤ刺繍プロジェクトを立ち上げました。プロジェクトの立ち上げに際し、マヤ文化開発目標(MDGs)を設定し、子供の教育や衛生管理、識字率の向上など、生活レベルの改善にも取り組んでまいります。
マヤ文化開発目標(MDGs)が目指すもの
マヤの歴史や文化を広めよう
マヤ集落に住む人々の識字率を向上
日本とマヤの文化的な交流を広げていこう
健康的な生活を確保しよう
生活レベルの底上げをするために一緒に考えよう
マヤの自然への配慮と広報活動をしよう
女性の社会的な地位向上を応援
MT:ありがとうございます。プロジェクトが立ち上がったのは、2020年7月ですが、立ち上げたきっかけは何だったのでしょうか。
八尾様:私たちが支援するマヤの集落「マヤ刺繍村」はトゥルム遺跡の近くの集落で、コロナウイルスのパンデミック前は、トゥルム遺跡やコバ遺跡の近くで刺繍の商品を販売していました。しかし、コロナウイルスのパンデミックにより、カンクンなどを訪れる観光客は激減。インターネットを通してやるという知識やインフラが整っていないため、売る方法がなく困っていました。
私たちはもともとカンクンで観光業を営んでおり、ある意味でマヤの集落の方が共存し、大切にしてきた自然や遺跡を使わせてもらってビジネスをしていたのもあったので、何か恩返しができないかということで立ち上げたのがきっかけです。
MT:そもそも、八尾さんがMAYA MEXICOに合流したきっかけは何だったのですか。
八尾様:もともと日本で貿易関係の会社員をやっていました。その時、MAYA MEXICOのことをインターネットで知り、メキシコが大好きで何かやりたいと思い、思い切ってプロジェクトを立ち上げた方にコンタクトを取りました。当初は日本で会社員をやりながらMAYA MEXICOに携わっていましたが、だんだんともう少しプロジェクトに関わりたいという想いが強くなり、今年3月にメキシコに来て本格的に参加することになりました。
一つ一つがオーダーメイドのマヤ刺繍の作品
MT:一つ一つの商品がオーダーメイドでマヤ刺繍村の方々が心を込めて作ったものですね。こちらの商品はどこで販売されていますか。
八尾様:日本国内から始め、先日メキシコ国内でもお求めいただけるようになりました。メキシコにお住まいの駐在員の奥様の方々で、いつもとは違った一時帰国のお土産を探している方は是非サイトに足を運んでみてください!
売れ筋の商品としては、コロナウイルスのパンデミックが始まった時はマスクの需要がかなり高かったです。最近では、マヤの女性が作ったブラウス、メルカドバックの人気がまだまだあります。
MT:八尾さんももちろん 実際に現地に足を運び、マヤ刺繍村の方とお話をしていますね。八尾さんが刺繍村で現地の方とお話をして感じたことを教えてください。
幸せの形は一つではない ―マヤ刺繍村で感じたこと
八尾様:実際に現地を訪れて、感じたことはいくつかあります。まず、家族のつながりが強いことです。日本だと結婚してしまうと家族と離れて暮らすことが多いですが、結婚してからも集落の中で家族の方と生活をし続けているところに、日本とは違う強い家族の絆を感じました。
また、マヤ刺繡村はジャングルの中にあり、写真にも写っているようにヤシの木で作ったお家に住んでいて、火も自分でおこし、電気の供給も僅かな環境です。当初はこうした生活を
貧しい生活ととらえ、村人の方を助けようと思っていましたが、いざ現地に行くと家族と仲良く暮らすことができ、自然の中でゆったりした時間で過ごされていることに気付きました。今まで便利な社会の中で過ごすことが一番だと考えていましたが、幸せの形は一つではない。大切なものを見失っていたことに気付きました。それでも村の女性や子供が望んだ未来を描けない状況は、やはり改善していかなければいけないと思い、活動を続けています。
MT:コミュニケーションもスペイン語ではなくマヤ語で苦労されましたか?
八尾様:マヤ刺繍村の言語はマヤ語です。村のコミュニティにリーダーの方がいて、その方や何人かがスペイン語を話せるので、やりとりはスペイン語でした。マヤ語は同じマヤ族でも集落が違うと、言語が違ってくるんです。「ありがとう」の一つでさえも違います。最近ではマヤ語を勉強したいと思うようになりました。
MT:マヤ語を流ちょうに話し、刺繍村の方とお話する八尾さんの姿、早く見てみたいです!(笑)。反対に、苦労したことは何でしたか?
苦労したことも全て楽しみに変えていく
八尾様:日々本当に色々なことがおこるので、どこから話しましょうか(笑)。刺繍村での出来事ではないですが、メキシコの生産者の方とかかわり、打ち合わせを重ねていく上で商品の完成一歩手前というところで、生産者の方と音信不通になりました。日本だとありえないことで、お客様にどう説明し、ご納得いただくかとても悩みました。最終的にはより質が上の製品を提案して、ご満足いただきました。
あとは輸送中の事故です。税関でものがなくなったことがありました。私たちのせいではないけれども、お客様に辛い想いをさせてしまったことが本当に悔しかったです(😢)
もう一つ、MAYA MEXICOのプロジェクトの拠点近くの市場の方に、日本にメキシコの物を輸出したいと伝えても、「輸出する必要なんてあるの?」な考えを持つ方に出会ったことがあります。素晴らしい民芸品を世界に広めるという気持ちでいることをなかなかご理解いただけず、「コピー商品でも作るんじゃないの?」といわれ悔しかったことがあります。
そんな苦労した経験もありますが、私自身今となっては、苦労も楽しんでしまうタイプです!
MT:何だかこちらまでもらい泣きしそうになりました(😢)でも、そうした苦労があったからこそ、成功したときのやりがいって大きいですよね。そして最後に、今後MAYA MEXICOとして取り組んでいきたいこと・新たに挑戦したいことをお話ください。
メキシコにいるからこそ出来ることを提供していきたい
八尾様:プロジェクトが立ち上がって以来、オンラインでのイベントを開催したり、SNSでの発信、メディアへの掲載、日本にいらっしゃるデザイナーさんとのコラボ企画などを進めてきました。今後は企業様とも手を組んで、マヤ刺繍村の支援をしていけたらと考えています。メキシコに支店や法人があれば刺繍村で企業様のロゴを刺繍し、日本国内で取り扱ってもらう企画や、マヤ刺繍村の方たちが作品を作る際に必要な材料の協賛などになります。折角メキシコにいらっしゃるので、メキシコらしい販促品作りで何か形に残していただけると嬉しいです。
MT:八尾さん、本日はありがとうございました!
編集後記
マヤ刺繍村の方々が大切にする自然や遺跡にとてもお世話になってきたので、何か恩返しがしたい ーそんな強い想いの元立ち上げられたMAYA MEXICO。大量生産品では実現できないような細かな刺繍のデザインは作り手の気持ちだけでなく、八尾さんはじめプロジェクトメンバーの気持ちまでも伝わってくるような商品です。
マヤ刺繍村のゆったりと流れた時間や家族を大切にする気持ちなど、実際に現地の方とやりとりをしている八尾さんだからこそ、商品の魅力をオンラインサイトやSNSでの活動を通じて発信できるのだなと思いました。これまでは日本国内のみ商品を販売していましたが、8月からメキシコでの販売もスタートしました。一時帰国のお土産を探していらっしゃる方は是非一度、覗いてみてはいかがでしょうか。
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