「課題の本質に寄り添い、共に解決を」――株式会社プランテック・小山社長にメキシコ進出の背景と展望を聞く
- Shoko Wen
- 7月18日
- 読了時間: 6分

建築設計の分野で国内外に多くの実績をもつ株式会社プランテックが、メキシコに新たな拠点を構えます。今回は同社代表取締役社長の小山氏に、進出の背景、メキシコ市場への思い、そして今後の展望について話を伺いました。
<目次>
なぜメキシコだったのか――「未来の可能性」に着目

MEXITOWN:なぜ数ある国の中から、メキシコを進出先として選ばれたのでしょうか?
小山社長:当社は10年以上前にベトナム、タイに現地法人を設立し、ASEANをはじめアメリカ・メキシコでも複数のプロジェクトを手掛けてきました。さらなるグローバル化に向けて、次の進出先として人口規模や経済成長性を重視した結果、魅力的な市場であるメキシコが最も適していると判断しました。
特に注目したのは、メキシコ国内に進出する日系企業の存在です。多くの工場が集まるこの地で、日系企業のニーズに応える設計パートナーとしての可能性を感じました。
また、メキシコを拠点にすれば、アメリカ南西部――特にカリフォルニアやテキサスへのアプローチも可能になります。さらにスペイン語圏という点から、将来的には中南米全体へ展開する道筋も描いています。
当社には、メキシコの建築大学を卒業したスペイン語がネイティブレベルで話せるメキシコ建築士のスタッフも在籍しており、その人材を活かせる環境としてもメキシコは最適でした。
「設計」に留まらない、“課題解決”のパートナーとして

MEXITOWN:御社が提供するのは、単なる建築設計ではない総合的なコンサルティングサービスです。そうした御社の強みをメキシコでどう活かしていきたいと考えていますか。
小山社長:私たちは、建物を“美しくデザインする”ことが本質であるとは考えません。お客様の“ファシリティにおける課題”をどう解決するか。そこに最も力を入れています。
企業の多くは、建築に詳しいスタッフが社内にいません。メキシコでも同様で、工場やオフィスを建設する際に、建築に詳しいスタッフが社内にいないケースが少なくないです。そうした企業に対し、設計に限らず企業のアセット、ファシリティに関する課題をお聞きし、最適な解決策を提供することが当社の強みです。設計はあくまでもその一手法に過ぎません。
例えば、工場の新設や増築、使い勝手が悪くなった建物の改善、将来的なメンテナンスまで、あらゆるフェーズにおいて私たちは寄り添いたい。ゼネコンに丸投げするのではなく、その前段階から一緒に考える“パートナー”でありたいのです。
現地との連携:自治体、教育機関、そして地域社会と

MEXITOWN:すでにメキシコ国内での登記登録を済ませ(現地法人名はPLANTEC ARCHITECTS DESIGN S.A. de C.V. )、さまざまな動きを見せている御社ですが、今後本格的な事業の開始に向けて、自治体などとの連携についても積極的に進められていますね。
小山社長:企業が抱える課題は単独では解決できないことも多く、建築以外の専門分野との連携が不可欠です。たとえば、生産ラインに詳しいメーカー、IT制御を担う企業、あるいは自治体や教育機関とのつながりも重要です。
すでにメキシコに法人を設立し、5月にメキシコとアメリカを訪れました。メキシコ国立自治大学(UNAM)の建築学部を訪問し、学生との交流や授業参加といった活動も行っています。世界共通の現状として、建築の芸術性を伝える講義は多いのですが、意外にも建築の実務面や建築ビジネスについて学生が学ぶ機会は殆どありません。
(写真上2枚)メキシコ国立自治大学でのデザインレビュー
(写真下)若手建築士との会食を交えた意見交換も
私は建築学部を卒業しながら、ボストン・コンサルティング・グループやオートバックスセブンで事業戦略・経営企画などの経験があることから、経営視点での建築にまつわる講義をすることが日本やアジアの大学で数多くありますので、メキシコでも若手建築士たちにその知識を届けたいです。また、メキシコシティ在住で日本政府からの叙勲受章者でもあるホセ・ルイス・コルテス・デルガド・メキシコ建築家協会会長とも面会し、今後何らか協力してできないかを話しました。
(写真上)ホセ・ルイス・コルテス・デルガド・メキシコ建築家協会会長と
(写真下)メキシコ商工会議所でのプランテック挨拶
メキシコだけではなく、アメリカ・テキサス州ともネットワークを広げており、前アメリカ建築協会会長のエリザベス・リヒターさんとも何かできないかを考えています。
(写真上)建築家エンリケ様と奥様
(写真下)建築家エリザベス・チュー・リクター様とご主人様とオフィスにて商談
日系企業へのメッセージ:「ちょっとした困りごとでもご相談ください!」
MEXITOWN:すでにメキシコで事業を展開している日系企業に向けたメッセージをお願いします。
小山社長:建築に関することでしたら、どんな小さな悩みでもぜひご相談ください。工場全体の計画、プロジェクトマネジメント、見積もりの精査、オフィスの使い勝手や食堂、やトイレなどちょっとした改修の相談まで、幅広いニーズに対応可能です。法令遵守や災害対策、デューディリジェンスなど、企業が見落としがちな視点にも力を入れており、総合的なサポートを提供する体制を整えています。
今後のビジョン:「メキシコとともに成長を」
MEXITOWN:最後に、プランテックメキシコ支社としての今後の展望をお話しください。
小山社長:まずは日系企業の皆様との仕事を軸に、アメリカや中南米、さらに欧米の企業にも展開していきたいと考えています。メキシコはこれからさらに発展していく国。一緒にその成長を支えていけたら嬉しいです。さらに現地採用にも注力しており、将来的にはメキシコ人社長の誕生を目指しています。
ビジネスだけでなく、レクリエーションやイベントなども通じて、多くの方々とコミュニケーションを取りたいと思っています。
(写真左)ジェトロメキシコにて中島所長と(写真右)在レオン日本領事館 青山総領事と
プランテックの新たな挑戦が、メキシコに新たな風をもたらす日は近い。
経歴
東京大学工学部建築学科卒業後、鹿島建設に入社。ボストン・コンサルティング・グループ、オートバックスセブンでの事業戦略・経営企画の実績。オートバックスでは取締役専務執行役員を歴任。一橋大学大学院で経営学を修めた後、プランテックグループ各社の代表取締役に就任。
お問い合わせ先
株式会社プランテック / PLANTEC INC,
日本(東京、仙台、名古屋、大阪、福岡)、メキシコ、タイ、ベトナム
【web】 https://plantec.co.jp/
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